早く目が覚める
外はまだ暗い
鳥たちの声がにぎやかに聞こえる
うっすらと空に赤みが差してきた
だんだん明るくなってきた
そして、鳥たちの声も変わってきた
鳥たちは飛び回りはじめたようだ
だんだん声が聞こえなくなってきた
我々の泊まったホテルの隣は16才以下の子供たちは診療費が無料だという子供病院だ
このような子供病院はカンボジア国内に4カ所ほどあって、ここが一番大きいという
10年ほど前まで内乱状態にありポルポト政権がこの近くを押さえていたようだ
だから地雷などの被害があったようだが
現在はほとんど撤去されて、地雷に関する心配は我々が訪問する観光地では問題ないという
現在はシアヌーク殿下の元、安定した政治体制になっているようだ
木が少しゆれている
少し風があるようだ
今日は涼しいのかも知れない
今日はいよいよアンコールワットの見学かと思ったら
ガイドの説明によると、アンコールワットは西向きに建っている
普通は東向きに立てられるのだが、このアンコールワットは西向きだ
黄泉の国、要するに死後の世界を意識した王様のための寺院だという
とにかく西向きと言うことは午後からの方が写真を撮るには適しているという
ということで、アンコールワット訪問は午後に回して、アンコールワットの先にあるアンコールトムに行くという
その途中、アンコールワットの前を通ってアンコールトムに向かう
簡易舗装の道路を進んで行く
途中観光客の遺跡入場券登録所がある
そこで登録のための顔写真を撮られて
顔写真付きのパスポートが発行される
これを付けていないと遺跡見学はできないという
確かに係官がこまめにチェックしている
森の中を進んで行く
すると大きな門が見えてくる
アンコールトムの入り口の門だ
なんでも象に乗ったまま通れるように作られた門だという
この門の前には両側に石像が並んでいる
まるで北京郊外にある明の十三稜でみたような雰囲気の石像が並んでいる
門を過ぎて、また森が続く
昔はこの森一帯に木造の家などが建てられて多くの人が住んでいたという
なんでも12世紀末に作られたものでいまから800年ほど建っていることになる
日本で12世紀といえば平安時代末期ということになる
日本では木造建築だから平等院鳳凰堂などが印象に残るが
平等院は11世紀の建築だ
とにかくここのすごいことは、12世紀に石造りの寺院があちこちに造られたが
隣国のタイなどから何度も攻められて、結局この地を放棄して他所に移った
そのため、それ以降見捨てられたようになって森にだんだん覆われてしまった
しかし、現実は地域住民が細々と集落を作っていたりして
この石の建造物の中にも住んでいたりしたようだが
とにかく廃墟として放置されたようだ
その廃墟となっていた寺院や王宮などが一気に歴史上に
いや、歴史上と言っても西洋の歴史上というのが正しいのだろう
歴史上に現れるのが江戸時代末期というか明治初頭ころに西洋人が目にすることとなる
なにもそれまで現地の人がこれだけ大きなモノを知らなかったと言うことではなく
認識してはいたはずだ
アンコールワットなど日本で言えば大阪城のようなモノだ
大きなお堀に囲まれて城内に大きな塔が建っている
お堀は昔からそのまま残っているのだから土地の人は知らないわけがない
ま、ようするに西洋の歴史上忽然と現れるのが19世紀(1861年)ということで話題を呼ぶ
カンボジアは第二次世界大戦後フランスから独立するが、内戦となる
その後、1991年というから今から20年ほど前にようやく内戦が終結してシアヌーク殿下の元で
カンボジア王国が誕生することになったという
そして、ここアンコールワットなどの遺跡が世界遺産に登録されてから観光客が増加したようだ
現在、日本をはじめ各国のアンコール遺跡救済国際協力が積極的になされているようだ
ここ、アンコールトムとは大きな町という意味だそうで
城壁と堀で囲まれた3Km四方の都市だったという
その町の中心にバイヨンと呼ばれる寺院が建っている
現在、この寺院は日本の協力で修復中だという
すばらしい彫刻や四面仏塔などが目に入る
なかなかの迫力で、すばらしいモノだ
ここアンコール・トムはかなりの広さで王宮跡などもその中に残っているが
建物としてはかなり破壊されてしまっている
それにしても観光地は小さい子供が物乞いについて回るのがわずらわしい
いよいよアンコール・ワットの見学だ
午前中のアンコール・トム見学のあと、いったんホテルに戻って2時くらいまで休憩した後に再出発だ
やはり暑いのだ、疲れるのだ
手ぬぐいを首に巻いて帽子をかぶってサングラスをして、マスクを掛けて
もうほとんど銀行強盗のような格好だ
虫さされの防虫剤が必要だなどとガイドに書かれていたが、そんなモノいらない
虫の数より人の数が多いのだ
いよいよアンコールワットだ、ここは寺院と言うことで
ポルポト政権下でもあまり破壊されずにすんだという
アンコールワットはお堀を渡って中に入ると中央に三重になった回廊に囲われて中央の塔が建っている
その回廊にはいろいろな物語が彫刻されている
とにかくよくもまあこんな細かい彫刻までして造ったものだとかんしんする
壁面に掘られた物語は非常に大きな世界観の中にある
普段はお坊さんはいないそうだ
あらゆるモノが石で造られていて、細かい彫刻がなされている
とにかくあきれるほど細かい彫刻が施されて、一つずつ見ているだけで大変な上、暑さでへたばってしまう
観光客のいるところにはかならず現地の子供たちがたむろして物乞いをしている
夕方、アンコールワットの近くにある高さ100メートルほどの丘に登り
夕日を浴びるアンコールワットを見ようと人が集まってくる
しかし、この山道がホコリっぽいのだ
象に乗って山の頂上にまで行くこともできるのだ
そして、山の頂上に着くと寺院の遺跡があるが
この遺跡に上る階段が非常に急で
這いつくばって登って行くような感じなのだ
しかし、山の上から見ると
たしかにアンコールワットは森の中にある遺跡なのだ
夜はカンボジアの民族舞踊を見学する
なんでも、ポルポト政権下で優秀な人材が虐殺され
こういう民族舞踊、この踊りも天使の舞といって、王様の特別な儀式の時にしか踊らないモノなのだそうだが
その特別な踊りが踊れる踊り子たちも虐殺されてしまったそうだ
けっきょく人材がいなくなってしまったという