平成19年07月24日(火曜)

昨日血液検査をした結果、白血球の数値などが大幅に低下していると言うことで

回復が十分見込まれるとの判断が出た

と言うことは「臥薪嘗胆」の胆汁を飲み干す必要はないと言うことだ

これからは徐々に食事を取って回復を待つという

 

一気にドクターから指示が出た

水は飲んでよろしい

洗髪はシャワーでよろしい

明日から食事を開始

 

これだけ聞けば何不自由なさそうだが現実はそうは行かない

まず水

OKが出たからといって冷蔵庫に何本も入っているペットボトルのお茶を

急にグビグビ飲むのには抵抗がある

そんなことしたら一週間空っぽだった胃がビックリしてまたおかしくなるのではないか

そうおもってしまう

だからズウッと何も飲まずにいたが

夕方ナースが明日から食事が始まりますから今日のうちに温めのお茶を少し飲んでおいた方がいいという

そうかと思って挑戦してみることにした

カップに注がれた温かめのお茶をマジマジと見る

カップをゆっくりと口に持ってきてカップの縁に唇を当てる

すこしずつカップを傾けてお茶を口の中に含ませる

口の中でちょうど良い温度のお茶が少しだけ口の中に柔らかさを呼び込む

ノドを湿らすように飲んでみる

食道を伝って降りてゆくのがわかる

どうも胃に到達したようだが

そこから先は砂漠に飲み込まれ見えなくなってゆく川の水のように感覚がなくなる

もう一杯、今度は多めに口に含む

思い切ってごくんと飲んでみる

やはり胃の感覚がない

胃がキュルともシュルとも言わない

結局あっさりとカップ一杯のお茶を飲み干してしまった

シャワーの許可が出たのだが

どうやってシャワーをするのかと思った

何せ点滴につながれたままだからと思ったら

なんと、シャワーのたびに点滴をはずすのだという

点滴をはずすと言うことはシャワーが終わったらまた点滴を付けると言うこと

付けると行っても、何かボタンでも付けるようなモノではない

結局注射針を刺し直すと言うことだ

それを考えるとおっくうになる

もう針を刺すところは左右の手にはあまりないのだ

あまりないと言うより、以前に刺したり失敗したりしたところが痛い

血管を触ると痛いのだ

時間が経てば直ると思っていたがあまり回復しない

だからあまりあちこちさしてもらいたくないという気持ちになってきている

だから毎日刺し治しなど勘弁願いたい

ま、それは別として久しぶりに点滴を外してもらった

身軽に動けることの爽快さを感じる

久しぶりにシャンプーをした

最初のシャンプーなどシャンプー液が効かないのかと思った

結局三回シャンプーをした

毎日ナースに背中を蒸しタオルで拭いてもらうのが気持ちよかったが

やはりシャワーの方がさっぱりできる

シャワーを終えて部屋に戻る途中ナースに声を掛けられたが

力がでない

「お腹が空いた」

部屋に戻ってさっぱりしたが力が出ない、腹が減った

おい、はやく点滴をつないでくれ

なにか自分が宇宙人かサイボーグのような感覚だ

 

明日から食事を開始するという

何となく楽しくなってくる

焼き魚か卵焼きかなどと思う

ナースにそんなことを話す

「最初は重湯からで、一食ごとに上げていって三日くらいで正常になるのです」と答えが返ってくる

そうか、三日目に焼き魚かと話したら

「いえ、三日目でおかゆです」と言われた

それも途中でお腹が痛くなるようなことがあったらストップして治療に逆戻りだという

ナースが言う

「お腹が痛くなったら黙っていないでちゃんと教えてくださいね」と

初日はスプーンがいるというので家内が夜あわててスプーンを買いに出かけていった

夜買い求めたスプーンをテーブルにおいて翌朝の朝食を期待して床についた

病室を変わるという

そもそもこの病室は耳鼻咽喉科の病棟で、私は内科なので内科に移るという

気付いたらいろいろ荷物が増えている

お花も一杯いただいて病室もにぎやかになってきた

そんな状況で引越も大変だなと思いながら

毎日ドクターは内科病棟からわざわざ私のためにこの耳鼻咽喉科病棟までやって来てくれているのだから

そんなわがままは言っていられない

昨日見舞いに来てくれた社員など開口一番に窓の位置を見て

「あれ、花火はこっちじゃないんですか」

おいおい、確かに花火を見るにちょうど良い位置にこの病院はあるが

私の病室を花火の桟敷代わりにしないでくれ

と言いながらも、今度部屋を変わるときは花火の見える信濃川向きの部屋が良いとナースに言っておいた

昨日、夏の日差しが見えた

ちょっと先はもう郊外だ

街路樹の影も夏の装いだ

西山の航空管制レーダーがよく見える

電線がちょうど壁のように目に入る

夕日がキレイだ

だんだん濃い色になって行く

望遠を最大にしたら山の木々がよく見えた

こちらは小木ノ城頂上、手前の建物も見える

お花をいただいたので霧吹きで水をあげている

シャワーを浴びた後再度点滴のために左の甲に注射針なのだ

目の前にアピタの看板が見える

屋上駐車場は車が一台もいなく照明だけが消火柱を照らしていた

そう、照らし出された屋上駐車場だ

こうやって写真に納めてみるとキレイだ

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