2004年10月31日(日曜日)

朝から自宅の後かたづけに向かった

朝一番に目の前を自転車に乗って、背中のリュックに七つ道具を詰め込み、三重県警と名前の入ったブルーの制服を着た人が
私の目の前を「おはようございます」と声をかけながら軽快に進んでいった
人数は3名のグループだったが自転車で走り回っているのが何ともいえず、さわやかな感じを与えてくれた

今日は、一番ごちゃごちゃになっている二階の父のアトリエとその奥の部屋を片づける予定だ
まず、部屋に入る扉が開かない
何とか開けて入ってみると、あの当日私が見た状況よりさらに被害が進んでいた
父は市展の締め切りに合わせて、今年の市展向けの絵を制作中だったが、その絵がどうなっているか心配していたが
私が当日この部屋の電気がついていたのに声をかけてもだれも返事がしなかったため
必死になって懐中電灯をひっくり返っている家具などの下に押しつぶされていないか探し
そのときちょうどひっくり返っているキャンパスをどかせて机の上に置いておいたため
それ以上、破れたり傷ついたりはしていなかった
父はこの作成中の絵が無事だったので一安心したようだ

この部屋は、私ども若夫婦が居間として使っていた部屋だから私どもの品物もまだそのままに置いてある
部屋の飾りとして壁に掛けてあった新婚旅行でスペインに行ったときの写真が縦になってぶら下がっていた
しっかし、若い写真だ、20代最後の年の写真だから、今見ると恥ずかしくなってしまう
二階の部屋は、破れたり外れた障子も元に戻し少しは落ち着いた

写真が直角になっていた

カミュのブック型も壊れてしまい廃棄

二階から屋根に出てみた、庭の石灯籠がひっくり返っているのが見える
二階の部屋の室外機をみたら室外機を止めてあったビスの位置が動いていた
前のねじの位置から一番前の位置まで動いている
当然室内の冷暖房機もひっくり返っておかしくなっていた
そうそう、室内の壁に取り付けてあった室内灯が壁から外れてしまっていた

屋根から見下ろした庭、石灯籠が倒れて転がっている(写真左上)


室外機の止めてあった金具の位置がずれている、ずれた結果、支えの一番前まで動いていた

屋根周りを見たら鬼瓦が砕けて落ちていた
大屋根は屋根屋が臨時で応急処置して行ったままになっている
屋根から隣のうちの二階の窓を見たら窓が閉まらなくなっているのか、何か段ボールのようなモノで
閉まらなくなっている窓の隙間を応急処置として塞いでいた
この隣のうちの大屋根は我が家より悪くて、ブルーシートで塞いでいた

切り妻にヒビが走っている

鬼瓦が落ちて砕けていた

大屋根には瓦屋が応急処置をしたままに放置されている

隣のお宅、ガラス戸が閉まらなくなって応急処置、屋根もブルーシートで処置

隣のお宅の土台にヒビが入っている、「土台無理」という言葉が頭をかすめた

自宅の裏手の道でガス工事の人が来てガス管を掘り出していた、その工事の人に
道路の各所でマンホールが飛び出しているのは地面が下がったのかマンホールが上がったのか質問したら
管が回りから押されて飛び出したのでしょうという話だった

ガス工事

ガス工事で掘り返し

我が家も一階のサッシが閉まらなくなって雨が降ると室内がぬれる可能性があるので何とかしなければと思い
コンパネか何かを買ってきて窓を塞ごうと考えた
幸い、サッシが閉まらなくても人が入り込めるような場所ではないので防犯用としてはさほど問題ないが
やはりこれから冬を迎えることを考えると早めに対処しておかねばと思った
一層のことサッサと雪囲いを業者にお願いしてしてもらえれば雨や雪も防げるだろうが
やはりサッシ戸が閉まらずに開きっぱなしでは寒すぎる

我が家の車庫のコンクリート壁がひび割れている

車庫脇のコンクリートのタタキもひび割れてしまった

戸が閉まらなくなってしまったアルミサッシ

早速資材センター(ムサシ)に車を走らせた、途中、自宅近くの野球場の裏手に航空自衛隊の駐屯地が目に入った
資材センターは大勢の人が来ており、お店の人にコンパネでサッシ戸を塞ごうかと思うと話したら
いろいろアドバイスをくれたが、それは電動ねじ回しと電動のこぎりをつかって脚立に乗って屋根のひさしから作業する
実に本格的なアドバイスだったが、私にはその能力もないし、そこまでする気持ちもなかったので
結局ブルーシートを購入することになった
お店を出てから車の中でいろいろ考えてみたが
このブルーシートでも二階のひさしから取り付けることになりそうなので、これもまた大変だと思い
もう一軒べつの資材センター(コメリ)に寄ってみた
そこでプラスチックのシートを見つけ、これが良いと数枚購入した
サイズはサッシ戸一枚分の大きさだ
これなら雨よけにもなるし、私が扱うにも軽くて便利だと思った
早速購入したまでは良かったが問題が発生した
車に入らない、タタミ一枚分の大きさが車になかなか入らない
何とか無理矢理入れたが、今度は運転するのに邪魔になったが何とか無理矢理運転をして持ち帰った
持ち帰ってから作業をしてみたら予想通りスムースな処置ができた

野球場裏に航空自衛隊と名前の入った車両がいっぱい止まっていた

店頭で各種ブルーシートが大量に販売されていた

多くのお客様がいろいろなモノを購入されていた

ホームセンターは物資も十分に豊富でいつもの倍の人混みだ

私が購入したパネルが邪魔で窮屈な運転を強いられている

今日の夕飯は何にしようかということで地元のスーパーに寄って買い物をした
地元のスーパーは野菜も果物も豊富に並べられていた
ただ地元メーカーの豆腐やあぶらげなどの場所に
「××産の豆腐は、地震のため製造が中止されていますため入荷しておりません」と表示されていた

夕飯の時、両親にこの地震は長丁場になるから体力を蓄えなければと話し
一週間の間毎日後かたづけという肉体労働を続けていては後から体を悪くしてしまう
だから、ここらでチョット骨休めをした方が良い、温泉でも行ってくればどうかと話した
そうしたら、いやまて、この家をどうするのか決めない内は休んでいられないという
だったら、とにかくこの冬を壊れかけた家で過ごすことは無理ではないか
だから、冬に向けて住めるように大改修するということは考えなくて良いと話した
私のマンションで狭いけれど生活できるのだからこの冬はここですごせばいい
後のことは春になってから考えればいいと話した
そうなると、アトリエをどこにするとか考え始めたが
所詮、私のマンションでは両親の今までの生活のレベルを確保するとなると無理がある
大きな家を両親二人だけで自由に使ってきたのだから、今の私のマンションでは部屋は4つしかない
いろいろ具体的な問題が浮かび上がってきた

今日は日曜日だったせいだろうか、見物客という感じの人が目に付いた
医療関係の人だろうか、町内を回ってくれていた
相変わらずヘリが飛び回っている
ヘリの音がすると何となく落ち着かない被災地という感じがしてくる
両親の自宅あたりにくるとこの被災地というイメージで重い空気が流れているが
私のマンションの方にくると、被災地ってどこ、テレビで写っているところは、へぇー大変なんだね
と言う感じで他人事のように思えてくる
自分が車で移動してゆくだけで、自分の中でさえ空気が違ってくるのが不思議だ
だから、なるべく被災地の中にだけ居るより、自分の気持ちを切り替えるためにも
被災地から離れることが大切なんだと思えた

文明って電気なんだとふと思った

電気のつかないところにいるのと
電気のついている明るいところにいるのでは、全然世界が違って見える

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