ここはホテルの16階
カーテン越しの窓から車のクラクションやら車の通る音が響いてくる
そして時折人の声だろうか
かすかに響いてくる
なにやらエネルギーが窓から入ってくるようだ
カーテンの隙間から南国のかなり強い日差しが室内に差し込んでくる
ベトナムでの初日
現地時間で朝の6時前に目が覚めた
窓の外を見た
広い大地
目の前の大きな川が目に入る
一角には大きなビルが見えた
地平線近くには港の大きなクレーンが大地に立つ鳥のように見える
海に近いのだと思った
目の前の大きな川をじっくりと見る
確か地図で見ると右手が海方向だったと記憶する
川の中央付近に浮き草が連なって見える
よく見ていると右から左に動いているようだ
何となくおかしい
左が川上で右が川下だと思っていたから
浮き草が川下から川上に流れていることになる
手元に磁石を出してみる
窓の方向は東南向きだ
やはり右が川下のはずなのだが
それとも海に近い性で潮の満ち引きが影響しているのだろうかと考えた
眼下からは車のクラクションがいくつも聞こえてくる
バイクだ
見ると2人、3人乗りのバイクが自由気ままに走っている
強い日差しで窓が暖められている
ギシギシと窓枠が膨張する音がする
暑い一日になりそうだ
ただいま午前7時
ガイドブックを見ながら市内を歩いてみた
なにやら市博物館なるものを発見した
建物の中で結婚式の写真を写していた
このパターンは中国、韓国、台湾などでよく見かけた光景だ
統一会堂なる建物に入った
この建物は旧南ベトナムの大統領官邸でアメリカ軍の作戦基地となっていた建物だ
だからベトナム陥落の時、南ベトナム関係やアメリカ軍関係者がここからヘリでアメリカ軍の空母まで
脱出するあの現場となったところだ
地下には作戦指令本部が置かれていて
最終的にはこの建物の正面ゲートを北ベトナム軍の戦車が踏み越えてベトナム戦争は終結した
その記念となる建物がこの建物なのだ
ベトナムはアメリカの前はフランスに統治されていたから
公共の建物がおしゃれなのだ
ここは中央郵便局
そして中央郵便局前の教会
蓮の葉で包んだチャーハンだ
結構美味しい
昼食はガイドブックに載っていたお店に入るが
ほとんど日本人しか入っていない
メニューも日本語が用意されていた
結構料金は高かったような気がしたが
かといって何もわからないわれわれが地元の屋台を利用するのには腰が引けてしまう
やはり知らない国の知らないまちを、それも言葉がわからずにフラフラ散歩するのには勇気がいる
ひったくりに遭わないか
道路はどうやって渡ればよいのだろうか
そんなことを考えると結局ツアーに参加した方が安心安全ということで
午後は市内見学の半日ツアーを申し込んだ
個人で何も知らないまちをフラフラするにはちょっとリスキーな雰囲気がしたので
まずは日本語の通じる旅行社で
はとバスのようなツアーを申し込んでみた
それにしても暑い
半日で汗びっしょりだ
市場はモノが豊富だがほとんど中国製が多く、そのほとんどがコピー製品だという
その最たるモノがバイクだという
ベトナムで一番人気のバイクはホンダのバイクで70万円ほどする
この値段だと現地の人はなかなか手が出ない
そこで結局ホンダのロゴに似せたホンダまがいの中国製バイクは5万円で手に入るという
確かにまちなかでバイクのパーツ屋が目につく
それらのパーツ屋ではホンダのマークの入ったイスカバーとか、ホンダのマークの付いた泥よけとか
とにかくパーツにホンダのマークの付いたモノが多いのだが
肝心のエンジンを見るとホンダのモノではないというバイクが非常に多いという
ベトナムも仏教国であり
また10世紀ころまで中国の支配下にあったため中国文化の影響を大きく受けている
当初は中国の漢字文化であったようだが
その後中国から独立してフランスの統治下になってから
現在の文字が使われるようになったらしい
ガイドの説明に寄れば
ベトナム独自の言葉をローマ字表示して発音のアクセントを表す記号を文字の上に付けたということらしい
だから文字を読んでも意味が通じないのだ
ただ、ローマ字読みでサイゴンなどという言葉は読み取れる
ちなみに現在ベトナム人で漢字が読める人はいないという
現在ベトナムの人口は約八千万人だという
また、ここサイゴンでは、そのほとんどが借家で自前の家を持っていないと聞く
家賃は月100万ドンから200万ドンで
給料は月300万ドン程度だという
朝は7時から夕方5時まで勤務だが残業も多く、皆さん稼いでいるときく
昼休みは11時すぎから1時すぎくらいのゆっくりと時間を取った休み方をするようだ
通訳にいろいろ質問するが
彼の返答はこちらの質問には的確でなく
自分の中に用意されたQ&Aの回答風に説明がなされる
ま、こちらも質問の意味は違いますよ、などと野暮なことはいいっこなしで
いろいろ彼の話を聞かせてもらっていた
観光ガイドは毎日同じような質問をされるからパターン化してしまうのだろう
学校教育は5・4・3制で小中学校までが義務教育
高校への進学率は15%程度だという
ベトナムではサッカーは人気のスポーツで、他にテニスも人気だという
なんでも、ベトナムは南北に長い国だから気候の差が大きく
中部から北部は台風や洪水が多く毎年被害が出ているが
南部のサイゴンは台風の被害はないので中北部の人が
南部のサイゴンに出稼ぎにやって来るという
シクロなる乗り物に乗る
ようするに輪タクだ
だがこれに乗っているのは観光客と言うことで後ろからバイクが寄ってきて荷物をひったくるという
だからわれわれがこのシクロに乗る時はバイクのガードマンが一緒に走るという
どうもこの国はひったくりの被害が多いようだ
お寺の見学にお寺の中に入った時
途中から現地の若い男がわれわれのグループにニコニコしながら近づいてくる
われわれの移動と一緒にくっついてくる
なにやら怪しげな雰囲気がするので
ここは用心しておくに超したことはないと
肩掛けのカバンを首から掛け直してバックを前に抱えるようにして見学を続けた
もちろんカメラもひったくられないように両手でしっかり握っていた
寺院の見学を終えて駐車場に戻ったら
彼の怪しげお兄ちゃんが車のドアを開けてくれた
そう、かれはわれわれの運転手だったのだ
夜はサイゴン川のナイトクルーズで楽しんだ
船はホテルから少し歩いたところにある船着き場に着く
ガイドに聞いたら船着き場からタクシーに乗ってホテルに帰るより
近いから歩いて帰った方が安全だという
タクシーが安心できないという国では困ったモノだ
タクシーメーターは1000ドン単位で表示されるのだが
運転手が24とメーターに表示されていれば
24万ドンだと言って請求するのだという
実は24とは24千ドンなのだ
こんな話ばかり聞かされるモノだからだんだんタクシーに乗るのがいやになってしまう
歩いてホテルに帰る時
大きな道を渡るのだが、これがなかなか難しい
ひっきりなしにバイクが流れてくるからなかなか道を渡れないのだ
だが、見ていると現地の人はゆっくりと歩きながら悠然と渡っている
そんな様子を見ながらなんとなくコツをつかんで大通りをバイクの流れている中を渡る
無事渡り終えると、何となく達成感を味わえる
次へ