何か話をして欲しいと頼まれたのでどうしようかと思っていたら、ふと思い出した
私がいま読みかけの本をネタに話をしてみようと思ったので早速読み直しをした
その本は
中島義道の「ひとを嫌うということ」(角川文庫)だ
示唆に富むものがあった
人を嫌うと言うことは、人が人を好きになるということと同じで
当たり前の普通のことなのだと
さらには、ひとを嫌うということは自然なことなのだが
その原因は理不尽なことであって、理路整然としたことではないのだという
さらに、この理不尽さこそが人生なのだと折りたたむ
そして、その理不尽さを認識して真っ正面から受け止めることが大切で
ひとを嫌ってはならないなどというきれい事でごまかさないで
当たり前のことなのだと受け止めることが大切だという
さらに、彼は嫌うことの原因を八分類して見せた
@相手が自分の期待に応えてくれないこと
A相手が現在あるいは将来自分に危害(損失)を加える恐れがあること
B相手に対する嫉妬
C相手に対する軽蔑
D相手が自分を「軽蔑している」という感じがすること
E相手が自分を「嫌っている」という感じがすること
F相手に対する絶対的無関心
G相手に対する生理的・観念的な拒絶反応
まず普通は1番の相手が自分の期待に応じてくれないことを原因として嫌い始めるという
わかる話だ
そして、3番の嫉妬や4番の相手に対する軽蔑へと進んでゆく
そうそう、だんだん冷めてくるのだ、そうそう、わかる話だ
そしてついには8番の生理的・観念的な拒絶反応へと進む
ま、ようするに「坊主にくけりゃ袈裟まで憎い」という状況になる
そうだろうね、そうなるのだなと思って読んでいた
この心理的な変化のスタートラインに
相手に対する期待に応えてくれないと言うことがあるが
たしかに、そんなところから始まるのだろうが、考えてみればたまったものではない
要するに自分の思うようにならないから相手を嫌うわけで
完全に相手の思うように動かない限り嫌われるという話だ
そんなこといったら、まず間違いなく嫌われ続ける
そう、著者は言う
この嫌うと言うことは「自然なものである」と
だから、嫌われることが当たり前なことなのだという認識を前提に
「諸個人のどうしようもない差異を徹底的に認めてスタートし、そのだた中にごまかすことなく自分を置く。
普通の人は不快をなるべく避けようとしますが、こういう人は微妙な不快もごまかさずに体験し尽くそうとする。
普通の人は悲しみをなるべく避けようとしますが、こういう人は悲しみも味わい尽くそうとする。
これもまた、豊かな人生と言えるのではないでしょうか。」と語る
私は感謝したい、講演の依頼を受けて一番メリットがあるのは私だ
毎回、いろいろな話を考えることで、私自身が一番勉強させてもらえるからだ
感謝