平成18年02月18日(土曜)

寒い朝だ
少し雪が降ったようだ
人の足跡が目につく

雪の原
夏頃まであった建物が取り壊されて空き地になっていた場所が
雪の原になっている

雪の細かい凹凸が
朝の柔らかい明るさで浮きだっている

今日は長岡技科大でのセミナー

夕方、今日から始まった
「雪しか祭り」の会場に行った

雪明かりの演出が

なんとなくきれいだ

いろいろ毎年工夫してイベントがくまれている


夜、私はリリックホールで朗読ワークショップを受けていた

このワークショップですばらしい詩に出会えた
初めて読んだとき涙が出てしょうがなかった

 

「梅酒」 高村光太郎

死んだ知恵子が造っておいた瓶の梅酒は

十年の重みにどんよりと澱んで光をつつみ、

いま琥珀の杯に凝って玉のようだ。

ひとりで早春の夜ふけの寒いとき、

これをあがってくださいと、

おのれの死後に残していった人を思ふ。

おのれのあたまの壊れる不安に脅かされ、

もうぢき駄目になると思う悲に

知恵子は身のまわりの始末をした。

七年の狂気は死んで終わった。

厨にみつけたこの梅酒の芳りある甘さを

わたしはしづかにしづかに味はふ。

狂瀾怒涛の世界の叫びも

この一瞬を犯しがたい。

あはれな一個の生命を正視する時、

世界はただこれを遠巻にする。

夜風も絶えた。

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