平成17年5月9日(月曜日)その1

いろいろな委員会に呼ばれることが増えてきた
きょうの委員会はTVカメラも入っている
午前中はいろいろ議論して、午後から山古志の被災地を視察することになっている
連休中に資料が送られてきていたようだが
私は連休中に会社に行かなかったためその資料を見ていなかった
そこには、視察時には長靴など各自用意することというようなことが書いてあったようだ
ということで、私だけまちなかにいるような格好で参加してしまった
みなさん土木とかの専門の先生などが多いため、しっかり被災地視察ルックの用意ができている
ヘルメットもしっかり用意して皆さんスタンバイ
わたしはヘルメットではなくソフトハットで参加だ
マイクロバスに乗り込み高速道路を堀之内まで走って入広瀬方面から
例の中山トンネル、あの「掘るまいか」の映画になった手堀トンネルのところを通って
いけるところまで車で行って、後は歩きとなる


バスからおろされた場所は中山トンネルの山古志側の部落を過ぎた先
ちょうどその場所から振り返ると部落の外れが見える
谷を挟んで反対側の斜面はほとんど崩れ落ちて土が丸見えだ

さて、ここからは歩きとなる
よく見ると左端に土砂崩れになる前の埋もれてしまったガードレールが見える
土砂崩れで道路に積もった土砂の上に仮設の道路を造って緊急工事用車両を通したようだ
ガードレールがないから車で通るには怖いものがある
そう、なにかチベットの山の中を通り抜ける道路のようだ

仮設道路を歩いて登り切り、ドンドン進む

道路脇の護岸壁は粉々に崩れて、その片割れが谷側の斜面に見える
少し行くと作業員が測量をしている広場のような場所があった
そこから谷の向こうがよく見渡せる

この場所から見ると、谷の先に見える場所が一番大きな土砂崩れで
例の芋川をふさいでしまい、自然のダムができて、そのダムの水がどんどん溜まって、一気に流れ出して
下流の部落やさらには川の河川敷で避難していた川口町の避難民までも土石流が襲う可能性が出たため
途中にある小学校の中を通してポンプで水を排出したりと大騒ぎになった場所だ
写真左中央付近に見える建物は小学校の校舎だ

左の山の斜面が崩れてずるずると前に押し出され
この写真で言えば中央より右側に押し出されたような土砂が左の斜面から流れ出した土砂
その土砂が右から左に流れていた芋川をふさいでしまったということだ

我々の立っている場所からは
左下にある川は芋川の支流で、左下から中央方面に流れ
中央右から左に芋川が流れている

我々の立っている場所から良く見える
このくらいの距離で、車を降りて歩いてここまで来て現場を見学する程度なら
十分に見学会を実行できると思った
現場を一人でも多くの人に見てもらうことは
我々が日本列島にいる限りどこでも起こりうることなのだといういみで
中越地震を風化させないためにも
この見学会を定期的に実行してもよいのではないかと思った

周りを見たらツクシがいっぱい生えていた
誰かが話していた
山古志は一般の人が山菜を「根こそぎ」採取してゆくから
問題になっているという
そこで、今年は立ち入り禁止で誰も山に入れないから
山菜にとっては良いことなのだと
しかし、考えてみたら
その山菜が採れる山の斜面が、里芋の皮がむけるようにペロッと剥げたようになって
山菜が採れる斜面そのものが無くなってしまった

この小屋はロープで引っ張って崩れ落ちないようにしている

谷底を見ると余震のせいだろうか
せっかく作った応急道路や工事用のポールなどが流れ落ちていた


この建物は小学校の校舎
その手前横一直線に雪が残っている場所が
切り開いた新しい河川
この辺りには民家はないという
シンボル的に残った建物がこの小学校
この小学校は使える状況にないという
この校舎は取り壊す予定だと担当官が話していたが
我々の中ではぜひ残すべきだとその場で意見が交わされた
そう、広島の原爆ドームのようなまったく使えない建物でもメモリアルとして残されている
そんな話が出た


我々の立っている前の谷底に反対側の斜面から崩れ落ちた土砂と雪が見える

道路のふちまで崩れ落ちている
恐る恐るみんなが谷底をのぞき込む

谷底には大きな樹木の根元から崩れ落ちて谷底に横たわっている

こんな作業用車両が先導の車とともに通っていった
このトレーラーで、あの仮設道路を乗り越えていくのかと思うと
いやはや、運転手は大変ですね
そんなときまた地震が来て崩れれば谷底にそのまま真っ逆さまですね

そうかと思うと、道路脇を見ると可憐な花が心をなごませる

おうおう、作業の人は大変ですね、ご苦労様です

これは、雪崩防止用の鉄柵でしょうか
折れ曲がったり崩れ落ちたりと、とにかくものすごいですね


ようやくマイクロバスの待っている場所まで戻ってきた
右の上に見えるのが斜面の上部で途中の斜面は土肌が見えている

さてさて、これはご存じだろうか
この地区の部落民が山の向こうの町に行けるように自分たちで「手堀」で掘ったというトンネルだ
長さは1キロまではないが、結構長い、真っ暗な中を一人で歩くとなると怖いものがある

トンネル脇に置いてあった仮設トイレが壊れていた
これは雪で壊れたのだと思う、雪の重さというより、雪が溶けるときの引っ張る力が強いから
こんな風に粉々につぶされる

これはトンネルの中の岩肌だ
この地区の岩は、岩と言うより泥岩のようなもので
地震で崩れたことを考えれば、手で掘れるほど柔らかい土だという
このトンネルを掘るときに右利きの人と左利きの人が組になって
右利きの人が右の壁面を、左利きの人が左の壁面をと言うようにして掘ったのだそうだ
そうすることで真っ直ぐ掘り進むように工夫したと
一緒に参加した丸山結香さんが話してくれた

これはトンネルの脇の沢
やはり土砂が崩れ落ちて沢に溜まっている

右の小さいトンネルが手堀トンネル
左の大きなトンネルが車両の通過できるトンネル
そう、トンネルの中は地震の被害はなかったようだ
動向の大学の先生方に聞くと
トンネルは安全なのだという
一緒に動いているから大丈夫だという
たまたま和南津トンネルは断層があって壁面が崩れたが
他のトンネルはほとんど問題ないという

トンネル近くの駐車場にあるサインマーク
そう、これはおばあさんが杖を突いているというイメージになっている

たばこ用の灰皿がぐにゃりと押しつぶされていた
これも雪のせいだろう

さらには、表示用看板もつぶされていた

これが今回の車両の前に掲げられていた許可証だ
この許可証がないと、とにかく入れない

山古志から降りてきて、国道沿いのコンビニでトイレ休憩
みたら「山古志」という清酒をレジ前に棚を出して売っていた

これは山古志から流れてきた???いやそっち方面から流れてきた
側溝をゴウゴウと流れている雪解け水でした、ハイ

前へ

次へ

目次へ