綾子舞を見ようと出かけてきた
会場は柏崎インターから車で山に向かって峠を越えた当たりだ
何も目立ったモノは無い田舎だが
とにかく地域の人の純真さが宝石のようにキラキラした地域だ
地域の婦人会だろうか、いろいろな地元の食べ物など即売会をやっていた
いよいよ時間になったので開始かと思いきや
国会議員の先生やら市長さんやら、ま、大勢のご来賓のご挨拶などがあって暑い日差しの中大変なのだ
ようやく始まる
最初は「祓い舞」なるお清めの踊りから入る
この後、合計12演目が続く、時間にしておよそ2時間ちょっとだろうか
1.常陸踊(ひたちおどり) 小歌踊
2.掏摸(すり) 狂言
3.小原木踊(おはらぎおどり) 小歌踊
4.恋の踊(こいのおどり) 小歌踊
5.海老すくい 狂言
6.因幡踊(いなばおどり) 小歌踊
7.肴さし舞(さかなさしまい) 囃子舞
8.三条の小鍛冶(こかじ) 狂言
9.小切子踊(こきりこおどり) 小歌踊
10.閻魔王(えんまおう) 狂言
11.恵比寿舞(えびすまい) 囃子舞
12.堺踊(さかいおどり) 小歌踊
これはスリという狂言だ
ここで、ふと後ろにいる太鼓や笛、鐘などの奏者を見ていたら
なんと私の知り合いが座っているではないか
今回も、ここに来る前に彼に声を掛けてから出掛けてこようと思っていたが
どうせ彼はかり出されて会場の整理係か何かをやらされて大変なんだろうと思っていた
1,2年前にこの地区の担当職場に転勤になったと聞いていたが
まさか舞台に上がっているとは思わなかった
演じているのは小学生だ
なかなかうまいのだ
この狂言はジッとしていることはない
必ず足をワルツでも踊っているようにステップを踏みながら
そして、扇を左右に振りながらセリフを言う
私はこんな演劇を他で見たことを思い出した
それは確か私が演劇の指導を受けた演出家の舞台だ
その演出家は能や狂言に高い関心を持っていたことを思い出す
この狂言は様式美というか、お約束ごとが出来ているから
小学生に演じさせても、様式を保って行けば一応形ができあがると言うことなのだろうかと思った
それにしても、小学生に「下ネタ」を演じさせることにはいささか抵抗があったが
観客の高齢者には結構受けていた
小歌舞という踊りは女性3人で踊る
ほとんどは扇を手先で器用に操って踊ってみせるモノで
演者は小学生高学年から中学生がほとんどで、成人はほとんどいない
若い女性の踊りは
ほとんど視線を下に向けた踊り方で
お淑やかさ、優雅さに満ちたキレイな踊りだ
扇の使い方のうまい下手が踊りのポイントになるようだ
最初と最後は、腰を低くした姿勢でしずしずと舞台を回ってはけ口に向かう
会場は広場に作られた仮設の舞台だ
報道関係者も大勢おいでなのだが
なんと言ってもアマチュアカメラマンがカメラを構えてズラーッと並んでいる
屋外で演じているから日差しの強さをまともに受ける
しかし、向こうに見える稲刈り前の田んぼには黄金色に光ったコシヒカリが輝いて見える
踊りだけではなく狂言が途中にいくつか入るから結構楽しめる
どちらかというと高齢者が多いように感じた
これは三条の小鍛冶という狂言で
なかなか演じ手も上手で面白かった
妻の役を演じている演者は、例のごとくジッとしてはいない
こんどは身体を左右後方に反らすような仕草を繰り返す
若い女性は視線を左右前方下に向ける仕草が基本となっているが
既婚の女性となると視線を左右後方に向けるような仕草が基本となっている
この弟子役が面白いというか、えげつないというか、本音というか、観客を笑わせるセリフや仕草をする
ここにもどちらかというと「下ネタ」風の言い回しが観客の笑いを取っていた
昔はこういう下ネタが一番受けていたのだろう
それだけ大らかだったと言うことだろうか
話の中で「藤原頼秀」が天子のお言葉を伝えてとにかく三振りの刀を打てと言う命令を下すわけだが
それが「三条の小鍛冶」と言うところが面白い
この「三条」は京の三条ではなく、越後の三条だと思って聞いていたがどうなのだろうか
これは「小切子踊」
手に持っているモノが子切子で、頭に飾りの冠をかぶってキレイな踊りを踊る
これは閻魔王という狂言だ
結構、この閻魔王が動いて踊るのだが
もう一人、白い装束の男はほとんど動かないのだ
こちらは恵比寿舞という囃子舞で
なんでもこの舞手のお父さんが後ろの奏者にいて、親子二代で舞台に上がっているという
なんでも大阪の堺港が信長、秀吉の時代に栄えたときの歌で
堺が遊女などで賑わっている様子など
堺をたたえるが、「堺、堺といっても花の都にはかなわない」と歌っているという
これですべてを演じ終えた
時間は午後の4時を回っていた
会場には、私の知り合いの大学の先生にお会いしたりして
結構、いろんな処から人が集まっていた
団体の観光バスで来ているグループもあった
車は田んぼのあぜ道にいっぱい止めていた
車のナンバーを見ると県外車も多く見受けられた
さて、私はこの日夜、与板の十五夜祭なるお祭りがあって
御輿が勇壮に担がれると聞いていたので見に行こうと思っていた
与板の町に着くと祭りの雰囲気で街中は賑わっていた
しかし、車をどこに置けばよいのか
会場はどこなのか
そんな案内看板は見あたらなかった
目に入ってきたのは車の進入禁止看板だけだった
さてどうしたモノかと思っていた
そんななかで、昼間直射日光を浴びていたせいだろうか
結構疲れが出てきていた
どうしようかと悩んだが、無理をしないでおこうと考え
きょうは昼間の綾子舞だけを見て終わりにすることにした
途中、カントリーエレベーターの脇を通ったら
車が何台も止まっており、稲刈りをした新米が運び込まれていた
農家の人は、今日明日の連休で稲刈りを済ませようと言うことで集中しているようだ
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