石が動いた
昨日の地震のせいだろうか
石が動いた
私の体の中で石が動いた
そして、痛みが起きた
一晩中寝られなかった
朝が待ち遠しかった
ドクターの顔が目に浮かんだ
外がやっと明るくなった
しかしまだ５時
とにかく寝ていても起きていても痛い
右を向いても左を向いても
上を向いても下を向いても痛い
何か楽しいことでも考えれば少しは痛みが治まるかと思った
だが何も楽しいことなど思い浮かばない
とにかく痛いのだ
右を向いても左を向いても痛いのだ
まだ６時
何が原因で痛いのかわからない
胃が痛いのか、十二指腸が痛いのか
なにかそのあたり全体が痛いのだ
ようやく７時
テレビを付けてみる
地震の報道ばかりだ
少しは気が紛れるかと思ってみている
８時
まだまだ早いが時間の経過は少し早くなってきた
９時
ようやくドクターのところに行ってみる
答えはすぐに出た
胆嚢炎ですね
即刻入院ですね、どうしますか
４時
ドクターが個室を取ってくれた
個室ならインターネットが使えるという
点滴が繋がりっぱなしなのだ
２４時間点滴と一緒に行動するというより
もう腕の一部だという
心電図を図るからと担当技師がやってきた
彼は手慣れた対応をする
ハイ、心電図とりますからね
ハイ、足をのばせますか
ハイ、胸をもらいますからね
ハイ、終わりました
しかし、「胸をもらいますからね」には恐れ入った
まるでベニスの商人みたいだ
「胸の肉１ポンドをもらいますぜ」そんな台詞が頭に浮かんだ