私はいろいろな社長さんと毎日のようにお会いしていろいろな話を聞く
そんななかで、温泉は良いという話になった
そして特に良い温泉があるという
それは真湯だという
是非先生も行ってみられたらいいと言う
そんなことで行ってみようと思った
場所は野沢温泉だという
早速調べてみたら
確かに名湯と高い評価がされていた
それもこれは公衆浴場という
今日、家内と一緒に出かけてみた
カーナビに登録して走っていった
最近は十日町方面は大地の芸術祭で何回か訪れているのでなれてきた
しかし、今回は野沢温泉ということは長野県
隣の県ということだ
しかし、先日たどり着けなかった例の野々海湖
そう、渋海川の源流を探していった峠の先にある湖
その湖から山を下りてたどり着いたところは
ほどんど野沢温泉の入口近くの信濃川、いや千曲川に近いのだ
野沢温泉は扇状台地の一番奥、山の頂上近くにへばりつくようにある温泉だ
野沢温泉の入口というか、ゲートのようなにぎやかなモノはない
いつのまにか温泉街の中に入っている
あまりにぎやかな温泉街ではない
町の中に入ったが何処に何があるのかわからない
そこでどこかに観光案内所があるのではないかと思ってみるが
なかなか観光案内所が見あたらない
途中で何となくそれらしいところがあったが
通り過ぎてしまった
わからない
仕方がないからもう一回戻ってみた
店の前に地図が椅子の上に置かれ
石で風に飛ばないようにしてあった
それを一枚いただいてようやく観光案内マップを手に入れた
真湯を探した
地図を頼りに探してみた
狭い坂道を回る
ようやく行き止まりの場所に入ったところで
工事をやっている人に聞いた
真湯は何処ですかと質問したら
ここですという
そこは工事中
なんでも建て直し工事中だという
12月に完成するという
結局目的は達することができなかった
そこで質問した
どこか他に良い温泉はと
すると、熱い方が良いですかぬるい方が良いですかと聞かれた
熱い方が良ければ上の方の温泉
ぬるい方が良ければ下の方の温泉という
そこで私がぬるい方と言ったら
それなら熊の手洗いが良いという
早速行ってみた
狭い道なのだ
狭い小路を入っていった
場所を確認した
行き止まりになっていた
ここは車で入ってはいけない
駐車場を探した
先ほどのマップで駐車場を見つけてようやく車を止めて歩き始めた
温泉街はやはり歩くに限る
駐車場の受付にいたお姉さんが大湯とか言っていた
他にどこか見るところありますかと聞いたら
特にないという返事だった
まったくあっさりしたところだ
大湯方面に歩いてみた
ぽっと目に入った
なにやら松山の坊ちゃんの湯を思い出した
なかなか作りは立派だ
これが共同浴場なのだ
扉を開けるとそこがもう湯船なのだ
中をのぞいてみた
熱い熱いといって湯船の周りに数人立っていた
ま、10人と言ったら満員だろう
もちろん男女別になっている
その向かいに足湯があった
そのまま歩いていった、坂道だらけだ
旅館客が浴衣姿で歩いていた
いくつあるのだろうか
あちこちに共同浴場がある
側溝を見ると湯ノ花が付いて白くなっている
やはり温泉は温泉まんじゅう、いや違う
「温泉まんぢう」なのだ
あちこちにある
「麻釜湯」と書いてある下には「湯女」と読んだがこれは間違い、「女湯」なのだ
右から書いたり、左から書いたり
ここは歴史と伝統のある温泉なのだ
時間が止まったようになっている場所と
時代に応じた動きをしている場所が
渾然一体となった温泉なのだ
特別なことをしなくても
名湯があるから人が自然と集まってきた
そう、良いモノをもっていたから人が集まってきた温泉街なのだ
もてるモノの強みということだろうか
見上げたら火の見櫓
この旅館客も温泉巡りをしているのだろうか
蔵に水の字だろうか、火事除けだろうか
とくべつにぎやかではない
というよりもパットしない温泉街だ
源泉がいくつかあって
それぞれに公衆浴場があるようだ
山の頂上付近にへばりつくようにある温泉街だから
とにかく坂が多い
ようやく熊の手洗湯に到着
早速入ってみた
中は入るとすぐ湯船が二つ
その壁際に脱衣用の棚がありそこに衣服を入れて振り向けば湯船なのだ
片方の湯船は二人か三人も入れば満員だ
もう片方はそれでも四人くらいだろうか
ちょっと熱いかもしれないがそんなに我慢できないほどのことはない
皮膚がチリチリする感じがする
首まで浸かって湯を見ると
湯ノ花だろうか
しかし、これはあまり見た目きれいなモノではないが
水あかのような感じがする
ま、効能があるのだからと理解する
湯口からドンドンとお湯が出ている
しばらくジッとしていると
湯口に近い方から熱いお湯が迫ってくる
そこでお湯をかき混ぜると落ち着く
すこし湯船から上がって窓の外を見る
風が気持ちよく身体をさましてくれる
先ほどまでいた若いお客が数人
どうやら上がるようだ
今度は近所のおじさんだろうか
慣れた雰囲気で入ってきた
もう一人入ってきた
このお兄さんがぬるい方の湯船に入って声を上げる
これ熱いですよね、ほんと熱いですね、と
私は黙ってぬるい方の湯船を出て熱い方の湯船に入った
そうすると、彼のお兄さんが言う
そちらぬるいですかと
いや丁度良いよと答える
彼は足を入れてくる
熱いですよ、これ熱いですよね
丁度良いよと言って首まで浸かる
彼は顔を真っ赤にしている
酔っぱらっているのか本当に熱いのかわからない
混んできたので上がることにした
家内と待ち合わせだから共同浴場の前で石に腰掛けて待っていた
身体がポッポと熱いのだ
足がポッポポッポとするのだ
本当にポッポポッポとなっている荷物を隣の箱の上にのっけて待っていた
荷物を取ろうと思って箱にさわったら暖かい
なんとその箱は温泉卵を作るための箱なのだ
ふろに入っている間にここに卵を入れておくと
温泉卵ができあがるという
ちょうど地元の人が卵を入れていた
皆さん温泉から上がって出口の道路で待っている
浴衣を着て顔を真っ赤にして道路脇に座っている
ここは生活道路だから車はほとんど通らない
丁度時間が良かったのか
ドンドンと人が来る
満員状態が続く
近所の親父さんが突っかけでタオル一本持ってやってくる
空を見る、きれいな夕焼けだ
本当に絵を見るような夕焼けだ
温泉街の狭い路地から向こうの山越に夕焼けが広がる
夕焼けの中で杉の木が目に入る
街灯の明かりと夕焼けが印象的だ
台風が通り過ぎたばかりだから
きれいな夕焼けなのだろうか
街灯の青さと夕焼けの赤さが目に付いた
温泉街のアーチ越しに夕焼けを振り返る
静かな温泉街を歩いてちょっとオシャレなお店に入った
もちろん誰もいない
というより、我々が入ったらあわてて音楽を流した
今日初めてのお客なのだろうか
なんとなく全体が暗いと思って天井を見た
電球が一個取れていた
夕食の時間になったのだろう
人はほとんど歩いていない
今日は月曜でお客が少ないのだろうか
あちこちの旅館、営業をやっていないのだろうか
暗い店が目に付く
ここはお客が入っているようだ
源泉に寄ってみた
高温だから近づかないようにと張り紙がしてあった
先ほどの大湯に若者が入っていった
野沢温泉に来たのだから、野沢菜ぐらい買っていかねばと
一番明るい店に入っておみやげを買った
とにかく人があまり歩いていない
夕飯時だったのだろうが
最近は大型の旅館やホテルがお客を囲い込みするから
温泉街でも人が歩かない
昔は温泉街と言えば射的やストリップ小屋など怪しげなモノがあって
それはそれでにぎわっていた
いまはそんなお店はだんだん成り立たなくなってしまった
お客を館内から外に出さないようにしているから
それは旅館やホテルが頑張っているのか
温泉街のお店が頑張りが足りないのか
温泉街というとなんとなく怪しげな雰囲気がまた思い出なのではないかと思う