消費税法の帳簿保存義務と仕入税額控除

高野 裕


目次

T はじめに
1 実質的公平のための解釈
U 事実の概要
V 審判所の判断
1 判断の前提
2 判断内容
W 研究  裁決に反対
1 事件の社会的背景
2 消費税について
3 仕入れ税額控除適用の条件
4 十分完全ではない記載について
5 住所電話番号の記載要求
6 記載要求項目中の相対的比重
7  仕入先の特定は必要か
8 保存があったか
X おわりに
[注記]
参考文献

T はじめに

1 実質的公平のための解釈

 租税法は国民一人一人に多大な影響を与える法である。であるからこそ、いかに公平であるかが問われる。公平であるということの

中には形式的公平と実質的公平がある。形式的公平は租税法律主義に則り、条文に厳格に対処することである。それは法律が国民の選挙で選出された国会議員により、唯一の立法府である国会において決議されたものであるから、法律によらない限り課税されることはなく、法律のみによって租税負担を負うものであるとして憲法に規定されているところである*1。しかし、形式的に条文を解釈することで形式的な公平を確保することはできるが、そのことにより「実質的な不公平」をもたらすことは間々ありうるものである。

 「形式」とは、あくまで定型的、固定的、象徴的なものである。しかし、租税法が適用される対象は社会における人々、生身の人間の活動である。社会は常に動いている。動いているからこそ発展している。発展するためにまた動いている。租税はその社会活動について回る法である。租税はこの社会の発展を促進するためのものでこそあれ、阻害するためのものであってはならない。社会は日々変化発展しているため、租税がなかなかその変化に対応することは容易なことではない。それは法律であるが故の宿命である。そのため現実的対応として条文解釈ということがなされる。この「解釈」は社会の実態に応じた解釈がなされることにより実質的公平が図られる。この「解釈」が実質的公平を確保する手段である。もし、この「解釈」を怠り、社会の実態を見ずに形式的公平論だけで条文を形式的機械的に文理解釈してゆくことは、租税が社会の発展を阻害するためのものとなる。このように考えてくると、法は社会に対し両刃の剣であると思えてならない。この剣は通常弱者に対して振りかざされる。そのために弱者を守る「解釈」が常になされ、その「解釈」に対して積極的な議論が起こされなければならないと考える。

U 事実の概要 

<請求棄却・平成6年12月12日裁決・裁決事例集第48集411頁>

 医薬品卸売業を営む同族会社である審査請求人Xは、仕入れに関する帳簿として仕入帳、商品出納帳、現金仕入納品書、現金仕入納品書を保存していた。それらの帳簿の中には仕入れ先が「氏」のみとなっている本件取引の仕入があった。これらについて原処分庁Yの調査担当職員は、仕入先が特定できない場合には仕入税額控除は認められないとの見解を示し、仕入先を特定するよう求めたがXはこれに応じなかった。Xは「仕入先を特定できるものもあるが、仕入先を明らかにすると、仕入先の信用を失い、仕入のルートを断たれ、今後商取引ができなくなるおそれがあるため明らかにできない」と答述している。代表者等は仕入先からの電話連絡による本件取引の内容を記入したメモや手帳等に基づいて、現金仕入納品書に日付、品名、金額、仕入先の氏等を記載し、さらに、現金仕入納品書により仕入帳を作成している。なお現金仕入納品書は、自社宛の名入り印刷された納品書を、Xで用意しておいたものである。Xは自社の売上高、粗利益、粗利益率を記載した表を提示している。

 

V 審判所の判断

1 判断の前提

帳簿等の保存とは、権限ある税務職員から税法の規定に基づき帳簿等の提示を求められたとき、事業者が「同税務職員の提示の求めにもかかわらず、これに応じなかったときには、当該帳簿等は、その時点において保存を継続していなかったものとなるというべきである」。「法第30条第7項が、帳簿等の保存がなければ原則として同条第1項の規定を適用しないとしているのは、適法な税務調査がなされる際には当然に保存されている帳簿等が提示され、これに基づいて課税仕入等に係る消費税額が算出されることを予定し、このような確実な資料が保存されていない場合には仕入税額を控除しない」と解される。

 さらに、法第30条第8項、9項の規定から「事業者が、課税仕入の相手方すなわち仕入先の氏名若しくは名称を記載した帳簿又は書類の作成者の氏名若しくは名称を記載した仕入先発行の請求書等の保存をしていない場合に、その仕入に係る消費税額は、たとえ課税事業者が事業として資産の譲渡等を受け、対価を支払ったものであっても、課税仕入として仕入税額控除ができないこととされている」。

2 判断内容

A 「本件帳簿等には、仕入先としてその氏名の氏に相当する部分の記載のみで、住所、電話番号等の記載もないため、本件帳簿等から仕入先を特定することはできない。法第30条第8項第1号のイは、明確に「課税仕入の相手方の氏名又は名称」を記載することと規定しているのであるから、当該記載が同項の帳簿としては不備なものであることは明らかである」

 さらに、Yの調査担当職員がXに対して仕入先を特定するように求めたが、Xは「本件仕入先を明らかにして記載不備を補完しようとしなかったことが認められるから、その時点において保存されていた帳簿等は、記載不備な状態における本件帳簿等のみであることになる」。

B 現金仕入納品書はXで作成されたもので、仕入先が発行したものでないから同条第9項に規定する請求書等に当たらない。

C Xが仕入先を明らかにすると取引ができなくなるとの答述を、Xが「適法な帳簿又は請求書等を保存しないことにつき災害その他やむを得ない事情がある旨主張していると解しても、そのような主張は仕入の相手先の氏名又は名称を記載した帳簿等を保存することを求める法第30条第7項ないし第9項の規定の趣旨と全くあいいれないところである」。

D 「以上のとおりであるから、本件帳簿等に記載された氏の真偽につき検討するまでもなく、本件取引については、法第30条第7項に規定する仕入税額控除に係る帳簿又は請求書等の保存がない場合に該当し」、仕入税額控除を適用することはできない。

E なお、Xは「本件取引の際、仕入先に消費税を支払ったのであるから本件取引に係る仕入税額控除を認めるべき旨主張するが」、同条7項の規定により同条1項の「仕入税額控除の規定は適用することができないのであるから、本件取引に係る仕入の存否、その支払対価の額、消費税相当額の仕入先への支払の有無について検討するまでもなく、仕入税額控除をすることはできない」。

W 研究  裁決に反対

1 事件の社会的背景

 ところで、現代社会の進歩発展のためには、起業家の出現は必要なものである。すなわちビジネスの場において既存の業者がひしめき合っている中に割り込みイノベーターとして新規参入し成長するような起業家である。例えば、デパートに代わってスーパーが、スーパーに代わってコンビニがというように、社会は常に新しい手法を開拓して進んできた。そして、その度に旧勢力と新勢力の摩擦が起きている。新勢力は消費者のために喜ばれるものであれば必ず受け入れられると確信して新しい手法を編み出してくる。その場合既存の常識とされた手法を否定するかのような行動は常に見られることである。商品の仕入先が誰であるか明確なことが分からなくとも間違いのない商品が安く手に入ればよいことであって、相手先の住所氏名など分からなくとも何ら商売上は問題ないことである。このような手法を使って、いわゆるメーカーブランド品を通常のルートでは手に入らない価格で安く仕入れて通常の価格では提供できない卸価格で小売店に卸す安売りを武器にした問屋もある。このような商品を扱っているいわゆるバッタ屋といわれる業者がいる。彼らはメーカーなどの妨害をさけるため所在を明らかにせず、現金決済である。そうなると、買い手としては仕入れ商品購入であるから、経理上の都合から領収書がほしいとなるわけだが相手は書いてくれない。仕方なく、当方で現金決済の都度何らかの支払いの事実が分かる書類なり、商品仕入れの事実が分かる帳簿なりを用意しなければと考え、相手方の住所氏名等が完全明確に分からなくとも、商品仕入れのために現金支払いをしたという事実が客観的に説明できれば問題ないと考える。通常の企業者はこのように理解している。ところが、これがいざ税法の問題となると通常の理解では通らなくなってしまうことがある。こんな社会的背景における事件が今回取り上げる裁決例である。

2 消費税について

 消費税は新しい税である。これについては今更申すまでもなく政策的要素が非常に濃い税法となっている。益税問題をみてもかなりの議論を呼んでいる。インボイス方式によらない日本独自の帳簿方式による日本型消費税として独特の税制度となっている。租税理論上の緻密な体系の中で熟慮されて立法されたというよりも、とにかく成立させるためにはどうしたらよいかという政策的見地からの立法と私は理解している。しかし、一度法として成立したからには法は法として一人歩きし始める。まだまだ未熟な法であるとしても、それをそのままにせず、少しでも成熟した法にするために議論がなされなければならない*2。

 ところで、法人税法などは収入金額から経費を控除して真実の所得を確定させて課税標準を定めるが、消費税は消費行為に対する課税であるという本質的な性質の違いから、通常法人税等で議論される使途秘匿金の議論*3をそのまま消費税に適用することはできない*4。

3 仕入れ税額控除適用の条件

 消費税法上の税額控除は消費税法第30条第1項において、課税仕入れ等にかかわる消費税額を控除するとしている。そして同条第7項で、その課税仕入等の税額控除のためには「課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合には」適用しないとしている。例外は災害等の場合だけである。さらに同条第8項1号において、当該「帳簿」とは「相手方の氏名又は名称」等の四項目が記載されているものと規定している。なお、請求書等についても同条第9項1号で規定する事項の記載を条件にしている。すなわち、「帳簿」についてみれば、とにかく「相手方の氏名又は名称」等の四項目が記載された「帳簿」でなければ税額控除のもとになる「帳簿」に該当せず、さらにその「帳簿」を保存していなければならないこととなる。とにかく最初に四項目が記載された「帳簿」が存在しなければならない。この「帳簿」が存在し、その上で「保存」されていなければならない。そして「保存」されていなければ税額控除が適用されない。このような構成に同条はなっている。

4 十分完全ではない記載について

@ 審判所の論理構成は、法第30条第8項、9項の規定を満たす帳簿等の保存をしていなければ、同条第7項により原則として同条第1項の仕入税額控除ができない。さらに正規の帳簿を保存していたとしても、税務職員が帳簿等の提示を求めたときこれに応じなかったなら保存していたとはいえないとする論法である。上記V2AにおいてX保有の帳簿は「不備」な帳簿であるとしている。さらにV2BにおいてX保有の現金仕入納品書は法が規定する請求書等に当たらない、としている。ということは法が規定する「帳簿」又は請求書等の保存がないこととなり仕入税額控除は適用できない、としている。

A 考えてみるに、まず「不備」な帳簿でも保有していたことは事実である。「不備」な帳簿が同条第8項第1号にいう「帳簿」に該当しないのであれば、法のいう「帳簿」でないからいくら保有していても意味がないこととなる。そこで第一の課題は、当該事件における帳簿が法の求める「帳簿」であるか否かを検討しなければならないはずである。

 当該事件では仕入帳などの帳簿類を提示したことは事実として認められている。しかし、その帳簿は「不備」であったとされている。問題は「不備」の内容である。何をして不備とするのであろうか。法30条7項第1項には次の四項目が列記されている。イ「相手方の氏名又は名称」、ロ「年月日」、ハ「資産又は役務の内容」、二「支払対価の額」である。本件事件における仕入帳等は日付、品名、金額、そして仕入先の「氏」が記載されている。

B 審判所が問題にしているのは「相手方の氏名又は名称」である。この項目については「氏」の記載はある。氏名とは「氏」と「名」である。氏名のいわば半分は記帳されている。本件で「不備」というのは「氏名」の内、「氏」だけではなく「名」まで記載されていないことをいうのであれば、四項目の内の「氏名及び名称」を要求する項目の内容が十分完全ではなかったということであろう。十分完全ではなかったとしても項目数を欠いている不備ではなく、一応項目数は満たしているがその内一項目だけ、その内容が十分完全ではなかったということである。このように十分完全でなかったとしたら、その項目は記載されていないと見なされるのであろうか。考えるに、通常日本では相手方の名前を呼び合うことはしない。氏を呼ぶことが通常である。「相手方の氏名」といった場合、「氏」さえ記載があれば全く記載されていないということではない。一応記載はされている。一応記載されているのであれば法が規定している「相手方の氏名及び名称」について記載があると考えてよいはずである。

5 住所電話番号の記載要求

 審判所は「氏名の氏に相当する部分の記載のみで、住所、電話番号等の記載もない」と論じている。氏名の内、「氏」が記載されていればとにかく記載されていることは事実であり、通常「氏」を呼び合うことから法が要求する最低限のレベルにあることと考えるが、「住所、電話番号等の記載もない」と審判所はいう。しかし、これはおかしな話である。法が求めている「帳簿」は先の同条8項1号に列記されている四項目をいうのであって、その中には「氏名」記載の規定はあるが住所、電話番号までも記載するような要求は何ら規定されていない。法が要求していないことが記載されていないからといって同条8項1号の「帳簿」に該当しないと論ずることはおかしいと考える。

6 記載要求項目中の相対的比重

 記載要求の四項目の中で何が一番重要な項目であろうか。全て重要であるとの意見もあろう。では何故消費税法施行当初に弾力的手法として、平成元年9月末日までは相手方の氏名、名称の記載だけは省略できることとされたのであろうか。考えるに、相手方が誰であれ重要なことは仕入税額控除の金額が過大でもなく過少でもない、正当額であること、と考えれば「支払対価の額」が一番重要な項目であるはずである*5。次にその内容が控除できない種類のものか否か区別するためには「資産又は役務の内容」の項目が不明であっては困る。もちろん何時のものなのかも必要項目であろうがこれは他の書類でも確認できる可能性が高いものである。さらに「相手方の氏名又は名称」はその取引が真正なものであることを担保するために必要な項目ではあるが、しかし、業種内容によっては相手先の名前を確認することが通常おこなわれない業種も多いことであり、中小企業者にとってはあまり細かいことをいうと事務負担の増加となり、消費税法施行当初としては弾力的手法として「相手方の氏名又は名称」くらいは記載の省略を認めてもさほど大きな問題にならないであろうとの配慮があったのではないかと考える。そうだとすれば「相手方の氏名又は名称」は記載要求項目の中では重要度が高い項目とは考えられない。さらにまた、法令49条1項には再生資源卸売業その他特定かつ多数の者から課税仕入を行う事業で、再生資源卸売業に準ずるものについて記載省略の特例がある。ここで省略を認めている項目はやはり「相手方の氏名又は名称」である。このように考えてくると法が規定している記載要求四項目のうち相対的重要度の低い項目は「相手方の氏名又は名称」であると考えられる。逆に同条8項1号の記載要求項目の内「支払対価の額」が不備である場合と「相手方の氏名又は名称」が不備である場合では自ずから比重が違うと考える。

7 仕入先の特定は必要か

 条文を解釈すれば帳簿に記載しなければならない項目は四項目だけであり、もちろん住所や電話番号など法が要求しているものでないから、それら四項目の項目を満たせば法30条第7項の帳簿に該当し、税額控除の対象になる。しかし、四項目のうち、曲がりなりにも記載があり、「支払対価の額」のように最重要項目ではなく、一部業者には記載省略が認められる「相手方の氏名又は名称」の項目の記載が十分完全でなかったとしても、記載がなされていなかったと断ずる必要はないと私は考える。ましてや、当該事件のように相手方の正式な氏名及び名称を問いただしても相手が答えてくれないであろう場合も多々ある現実社会の実情を考えたなら、氏名の「氏」のみしか記載がないことのみをとらえて法の要求する帳簿には該当しないとして仕入税額控除を認めないとすることは、あまりにも過酷な負担を納税者に強いるものではないかとも考える。

 さらに、審判所がいうように「氏名の氏に相当する部分の記載のみで、住所、電話番号等の記載もないため、本件帳簿等から仕入先を特定することはできない」として、「氏名又は名称」の記載を要求することは仕入先を「特定」させるためであるとするならば、当然、法が要求する必要項目に住所、電話番号等の記載をも要求するはずである。しかるに、そのような項目が法定されていないことを考えれば、「仕入先の特定」を当然、法が要求しているとは考えられない。「真実の仕入先」であることは法の当然の要請であるかもしれないが*6、法の要求が「仕入先の特定」であるとは思えない。この8項が7項を通して法30条1項の仕入税額控除を受けたものであることを考えたなら、仕入税額の真正さを担保するための条項であると考えるのが素直な考えであると思う。とすれば、同条8項1項で要求している四項目のねらいは真実仕入れていることであり、そしてその金額は真正かということにあると考える。法が四項目を要求した実質的意義はここにあるならば、例え四項目のうち一部が十分完全でなかったとしても、さらに審判所がいうように「仕入先が特定」されなくとも、真実仕入れていることがわかり、金額が真正なものであると判断できるのであれば同条8項に規定する「帳簿」として認められるべきものと考える。

8 保存があったか

 ここで、次に検討すべきは帳簿に記載された仕入取引が真実な仕入れであり、金額は真正であるかの検討をなすべきである。しかるに、審判所は法の要求していない「仕入先の特定」ができないからといって取引の事実についての検討を回避している。「仕入先の特定」ができなくとも、取引の事実、金額の真正さは他の帳簿なり本人の保存している手帳なりで把握することは可能のはずである。さらに、売上高、粗利益、粗利益率を記載した表等によっても事実の心証を得るための資料となり得るはずである。ここからは事実認定の問題である。

 以上の検討後、本件の「不備」な帳簿が同条8項に規定する「帳簿」であるならば、次に問題とすべきは同条7項にいう「保存」があったかを検討すればよい。これは、「不備」を補完しなくとも、この「不備」な帳簿が同条8項に規定する正式な「帳簿」であり、その帳簿を当該税務職員が帳簿等の提示を求めたとき提示しているなら同条7項に規定する「課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に該当しないから当然、消費税法第30条第1項の課税仕入れ等の税額控除の対象として計算してよいこととなる。

X おわりに

 審判所は条文を余りにも形式的に判断し、それでいて「仕入先が特定」できないとの理由に終始とらわれ、氏名等の記載を要求した法形式に若干不十分な程度の記載を一律硬直した形式基準で冷たく切り捨て、ものごと社会の実情を考慮しない解釈に終始している。以上のことから考えれば、当該採決に私は反対したい。

 ところで、国家と納税者という対立構造を考えたとき、国家の不利益排除を考える「解釈」は強大な行政により常になされている。しかし、納税者の不利益排除を真に考えるところの「解釈」は、納税者が訴訟を提起し司法の場に問うことによりなされる。その納税者をバックアップする組織が私は必要と考える。それは租税に対する専門的知識を有する専門家以外に納税者をバックアップするものはいない。その代表が税理士会である。税理士会は、いわば形式的公平により実質的公平が阻害されているような、納税者の不利益が排除されない「解釈」がなされているなら、納税者をバックアップして司法の場に問題を提起する積極的な組織となるべきであ。


[注記]

*1憲法30条

*2最近、消費税関係の訴訟事件が増加しているようである。朝倉洋子税理士が消費税の全判例と公表された全裁決事例をまとめている。速報税理8年1月1日号30頁以下。

*3使途秘匿金(いわゆる使途不明金)の議論については松沢智著「新版租税実体法」344頁以下参照、なお松沢智編著「租税実体法の解釈と適用」(高野裕「使途不明金」)281頁以下

*4大渕博義 著 「消費税法の帳簿保存義務と仕入税額控除の問題点」、税理38巻12号37頁

*5実質上行政庁の取り扱いも金額記載漏れの場合と日付の一部記載漏れでは扱いに違いがあるようだ。山本守之200頁。

*6大渕前掲書41頁


参考文献


中央経済社「税務弘報」44巻4号(平成8年4月号)71頁以下掲載原稿


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Last Updated: 4/22/96
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