リリック演劇スクール リリック舞台技術体験ワークショップ

日程:1/22(土)、2/13(日)、26(土)、27(日) (全4回)
対象:高校生以上で全日程に参加できる人 
照明・菅原良広/音響・小池俊幸(ともに新潟照明技研株式会社)

舞台技術ワークショップ 照明技術 講師:菅原良広(新潟照明技研株式会社)

2005年1月22日(土曜日)

今日が初日、午後1時から5時まで、長岡リリックホール・シアターにて

最初に言われたことは「安全が一番」と
だから明るいところで作業をすることだという

次に、「必要と思われるところに光を与える、これが照明だ。だから、必要でないところには光を与えないことだ。」

そして光を与える場合全面的に「フラット」に光を与える場合と局所に光を与える場合がある

フラットに光を与えるためにあるライトが「ボーダーライト」と言って
舞台上部につるされている
通常3本が原則で、舞台と客席を仕切る緞帳(どんちょう)に近い方から第一、第二、第三と名付けられ
上の写真で言えば右の方から第一ボーダーライト、第二ボーダーライト、第三ボーダーライトと呼ぶ
三色配線、四色配線などがある
ここ、リリックは四色配線となっている

舞台に向かって右を上手(かみて)、左を下手(しもて)
舞台手前をダウンステージ、奥をアップステージと呼ぶ
客席から見て舞台の見える幅を間口
客席と舞台を仕切る幕が緞帳
舞台の袖が見えないようにするために袖幕(そでまく)
そして、舞台の一番奥にある幕が「ホリゾント(Horizont)幕」
上の写真で言えば左の白い幕がそれだ
その前に下ろされる幕が「大黒幕」

リリックの舞台平面図を見ると上手袖に「東西幕」という記載がある
これは何かと質問したら
昔、芝居は太陽の自然光を頼りにしていたから南に向いていたという
いわば幕は南に向いて用意してあったわけで
そういった客席に向かって用意されている幕とは違い
舞台奥から手前に向かって引かれる幕のことを東西幕というと説明された
なるほどと聞いていた

舞台の下は奈落(ならく)、では舞台の一番上、天井は棚

ホリゾント幕に光を当てるためのライトが二種類ある
下から当てるライトが「ロアーホリゾントライト」、これだけでは上の方まで光が届かずに暗くなってしまうので
上から当てるライトが必要となる、それを「アッパーホリゾントライト」という
これらはフラットライトで局所に当てるライトではない
三色と四色があって、リリックは四色となっている

今、ホリゾント幕に赤い色を当てみる、フラットライトだから均一にあたっているが
色がまだらになる、これはボーダーライトが当たっているからで、ホリゾントにボーダーは不要だ
第一から第三まで順番に消すとホリゾントの赤の色が均一となる

部分照明にはサスペンションライトを使う
サスペンションライトは舞台上部のバトンにつるされている

舞台の袖幕のところからスタンドに設置して使われるスポットライトを
ステージスポットライトと言い、SSと呼ばれる
これは人物に立体感を付けるために使われる

客席左右の壁面に付けられたライトはフロントサイドライト
また、舞台上の人物を追っかけて照らすフォロースポットライト

客席上部後方からのライトをシーリングライト

客席後方でライトの操作をする調光室

そこで質問した、リリックの舞台平面図には舞台の左右に三カ所ずつ、計6カ所「ライトラダー」と記入してあるがこれは何かと
はい、では早速お見せしましょう、ということでボタンを押したら舞台脇の袖幕と袖幕の間に天井からなにやら装置が降りてきた
結局、これははしごのようなもので、ここにライトを設置して上に移動させ斜め上からの照明に使う、照明取り付け装置だという

リリックの装置はほとんど電動で自動的に上昇したり下降したりと、ボタン一つで動くようになっている

ここでカラーフィルター見本帳が配られ、色の話となった
ポリカラー(Poly-Colour)という分類は八種類に分かれている
ピンク系が10番代、赤系20番代、オレンジ系、黄系、緑系、青緑系、青系、紫系と80番代まで分かれており
この色の並び方は虹をイメージして並べられている
さらに各系列のうち、各番代で番号が若い方から濃い色から薄い色へと並んでいる
これが原則だが最近はいろいろな要望により若干異なる色の並びも出てきている

カラーフィルター見本帳を見るときは蛍光灯ではなくライトで見ないと違って見える
蛍光灯だと青が強くなって見える

72番(青)59番(緑)40番(黄)22番(赤)と言うように番号で呼ぶ
色のない時はホワイトとかNC(ノーカラー)と呼ぶ、と言いながら先生は生(なま)とも呼んでいた

ロアーホリゾントライトは
72594022となっているが
アッパーホリゾントライトは同じではない
72716322となっていて違っている

ちなみに3色配線の場合は
ロアーホリゾントライト725922
アッパーホリゾントライト717263

この色の調整で奥行きや広がりを出す
アッパーホリゾントライトとロアーホリゾントライトを調整することでいろいろな色が出せる

さて、いろいろな色を見せるからどんな感情か、どんなモノを連想するか、と質問された

72番ダークブルー

22番赤

40番黄

ピンク

また、同じブルーでも

光量を絞ってくれば変わってくる

それから、ロアーホリゾントライトの場合と

アッパーホリゾントライトの場合ではどちらがその前にたった人物を際だたせられるか
などなど、いろいろな事例を実演して見せてもらった

こんどはスポットライトについて
光源は白熱電球とハロゲン電球があり、これはハロゲン電球
電球は下に差し込んで設置するからライトを真下に向けることまではよいが反対になる状況
電球の差し込みが上を向く状況まで回転させることは間違いだ、抜ける危険性があるからだ
素人のやった仕事にはそんなケースが見受けられる

ライトは熱を持っているから器具に触れるときは非常に危険だ
必ず革の手袋か軍手をしておくこと

レンズには二種類あって平凸(ひらとつ)レンズとフレネルレンズがある

右が平凸レンズで左がフレネルレンズ
平凸レンズはハードな光を演出、フレネルレンズはソフトな光を演出する

手前の光が平凸レンズ、奥の光がフレネルレンズ

平凸レンズの方が輪郭がハッキリ出る、フレネルレンズは輪郭がぼける

何かを際だたせるためにはそこに光源を当てることで際だたせることができる
その場合、バトンを下ろして設定しても、バトンを上に上げたとき(飛ばすという)どこに光が当たるか考えて設定する
微調整は棒のようなモノで下から調整する

ライトを最大に広くあたるようにして飛ばして見ると、舞台上のどこまで照らすか

一台のスポットライトで舞台の半分まで照らすことができるから最低二台で舞台を
照らすことができるのだが、真ん中が暗くなるから三台で舞台全体を照らすことができる

ホリゾント幕の裏はどうなっているか
その裏は道具置き場になっている

私が質問した、ライトは丸く照らし出すから四角く照らし出すにはどうするのかと

「よしゃ、やってやろうじゃないか」と先生は力んで助手に目配せしたら
助手の人がなにやら黙々と作業をし始めた
そして、照らし出していた丸い光が、なにやら「カッター羽」なるモノを取り付けて真四角を照らし出してきた
そしてどうだ、と見せてくれた

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