旗揚げ公演に寄せて
税理士 高野 裕
さわやかな「わるだくみ」である。主幹の高橋直也は明るく、さわやかな青年である。だが、彼は普通の青年ではない。場の雰囲気や相手の心をズバリと見抜いてしまう透視能力の持ち主だ。この透視能力がいかに強力な能力であるかはここの劇団員に聞けば分かる。この強力な透視ビームを武器に、彼は長岡で劇団を旗揚げした。彼の演出は変わっている。まるで上演当日のお客様を透視ビームでサーチしてから演出したのではないかと疑いたくなるような、見る側にフィットした演出だ。ついサラッと見過ごしてしまいそうだが、実は見る側の心をつかんだ細かい気配り演出の連続なのだ。だが、彼の本当のねらい目は、お客様が気づかない内に直也ワールドに引き込もうということにある。これこそ彼の「わるだくみ」だと気づいたときには、あなたはもう直也ワールドに引き込まれているはずである。実にさわやかな「わるだくみ」である。
2003年5月「劇団わるだくみ」 旗揚げ公演パンフレット掲載原稿