サックス事始め 幻の演奏会 上編

高野裕

2003年12月29日 柏報掲載

クリスマスイブの朝
出がけに家内が確認した
今日の予定はどうなっているのと
今日は午後から加茂まで出かけてお客さんと打ち合わせ
5時までに帰ってくるようにするよと返事した
朝から夜はクリスマスイブの演奏会があるとワクワクしていた
市街のお客様のところに行って時間を気にしながら切り上げてきた
帰り道、会社に電話をして5時少しすぎるけど会社に向かってますと
イブのせいか道が渋滞していた
確実に少しでも早く帰るために高速道路を利用した
長岡の街の中も渋滞していた
時計を見ながら走り続けた
会社にようやく着いた
5時30分だ、何とか6時の開演には間に合いそうだ

自分の机に座って残務整理をし始めたらスタッフが入ってきた
午後からデーターサーバーが使えないと言う
バックアップデータも復元できないと言う
私は思った、それじゃバックアップの意味がないじゃないかと
担当者は必死で訴える
社内のみんなが私と担当者のやりとりを必死で聞き耳を立てている
そんな空気が伝わってきた
業者に連絡するように指示した
クリスマスイブの5時過ぎにハードディスクのクラッシュか
早速業者がやってきた
いろいろやっている
私は時計を見た 6時半になっている
家内に友人宅に連絡するように言った
そして先に準備して友人宅に行っているように言った
先に始めておくように、後から連絡するからと

業者はなんだかんだと見てくれているようだ
私は腹をくくって自分のデスクに腰を下ろした
しばらくして担当から報告が入った
回復したと
ハードディスクは無事だったと
ケーブル線に問題があったらしいと

さっそく今後の対策について指示をして
一応今日のところはここまでと終わりにした
時計を見た 8時になっていた

友人宅に電話した
遅くなったがこれから行くと

その晩は友人とシャンパンを飲みあかし
久しぶりの会話を楽しんだ
当然演奏会は幻(まぼろし)となってしまった

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