サックス事始め高野 裕 初出 「TAINSだより」2003年12月号7頁、日税連情報サービス 発行 |
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「サックス事始め」 税理士 高野 裕 絶対的な練習不足 ついにサックスを購入することにした。 音がこぼれてゆくここをこう押さえて、つぎはこの指でここを押さえて、と、まさに手取り足取りの指導だ。必死に楽譜を見、指を見ながら音を拾ってゆく。というより、拾った後かポロポロとこぼれてゆくという感じだ。「はい、では最初からやってみてください」と言われて譜面の最初に目を戻す。指の位置を確認。呼吸を整える。大きく息をおなかに吸ってリードに唇を当て、安定的に音が出るようにゆっくりと吹き始める。昔からよく聞いている「聖夜」のメロディがイメージとして自分の頭の中を流れる。耳から聞こえる音と検証する。イメージと音が一致していることを確認しながら指を進める。目は必死に楽譜を見つめている。頭の中では「エーと、これはドレミのミだな」と一音ずつ追いかけ、指を確認して進んでゆく。だんだん唇が痛くなってくる。音が揺れ始めてくる。息を大きく吸い直しながら必死に吹く。先生は言う、「もっと唇を締めて」と。ハイ、と頭の中で答えながら、息が漏れないように唇をしめる。やはり息が漏れる。なんとか指示されたところまで吹き終わる。どっと疲れが出る。こりゃダメだ、もっと練習しなければと実感する。 事の始め ある時、妻が突然言い始めた。 重大な事実 ところで、重大な事実を報告しておきたい。サックス購入後の練習は充実しているかという点について、我が家はマンション暮らしで、結局サックスの音が結構大きく近所迷惑だからと練習抑止方針が打ち出されている。 |
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