県連情報システム部編
県連事務局にADSLがやってくる。といっても蒸気機関車の話ではない、もちろん怪しげな病気でも薬でもない。県税理士会が一気に活性化するためのキーワードである。
お隣韓国ではこのADSLのおかげでマイナス経済成長がプラス成長になったと言われ、韓国経済の救世主とされた代物。ADSLとは高速でインターネットができるサービスのことである。日本では今まで見向きもされなかった。というよりこの上のレベル、光通信に的を絞って計画を一気に進める計画ができているから余計な寄り道など考えなかったのだ。
だが、この光通信を各家庭で現実的に使うまでには、まだ3年から5年かかるといわれている。今の時代そんな優雅なことを言っていると、日本は米国のみか韓国にも追い越されてしまうと心配する声が出始めた。そんな動きの中で、NTT以外の業者がADSLサービスを実施し始めた。
今までなら考えられないことである。いままではNTTが動かない限りなにも始まらなかった。だが時代は変わった、規制緩和のおかげでNTT以外でも新たなサービスを提供することが出来るようになっていた。そして、事実ADSLに手をつけようとしなかったNTTに対抗して東京の業者がサービスを開始した。ここで焦ったのは大巨人NTTである。隣の韓国の状況は先刻承知の大巨人、このままでは次の光通信に導くためのISDN利用客がADSLに移ってしまう。当然将来計画にも影響がでる。NTTがようやく重い腰を上げADSLサービスを開始した。これが昨年の年末、12月26日。それもごく一部だけのサービスを開始した。もっとも、この動きに決定打を与えたのが公正取引委員会の独禁法違反警告である。NTTが東京メタリック通信などの業者の営業妨害したということで警告が12月20日に出された。これで流れはADSL実施に傾いた。
このADSLはNTTが計画していた次の目標、光通信さえも場合によっては越えてしまうかもしれない代物である。当然いままでのISDNなど陳腐化させてしまう。スピードはISDNの20倍だが料金は月4,600円で、ISDNより1,000円高いだけ。いくら使っても料金が変わらない定額制。20倍のスピードで定額制のADSLと遅くて料金がさほど違わないISDN、その上20倍のスピードを利用した映画や音楽、ニュースやゲームなどのサービスがどんどん充実してくれば、誰も遅いISDNなど見向きもしなくなる。
サービス開始地区では申し込みが殺到して数ヶ月待たされる状況がでているという。このサービスがなんと新潟市でも4月26日から開始されるという情報が私の所に入ってきた。そうなればとにかく早く申し込みをしなければ待たされてしまう。受付開始は4月19日。早速インターネットで日付が変わった19日午前0時過ぎ申し込みをした。翌日NTTから連絡があり、工事は5月に入ってからという。すでに4月の工事日程は埋まってしまったとのことである。
ようやく県連事務局にインターネットが使える環境が実現しそうだ、というよりいままでその環境ができていなかったことが驚きだ。だが、ようやく時代に追いついていけそうである。それもこれからの時代の主流であるブロードバンドといわれるADSLが使える。これはすごいことなのだ。ADSLが使えると言うことは映像と音声が使える。今までのインターネットといえばISDN、これは文字と写真が中心となる。だが、ADSLは映像や音声が使えるからテレビ電話やインターネットTVの世界ということになる。県内各支部事務局もADSLを導入すれば、事務局間でテレビ会議が現実味を持ってくる。そんな時代環境に飛び込むための最初の一歩を県連事務局は手に入れたのである。
政府は2003年までに電子政府化を実現するという。その現れが2003年電子申告の実施である。確実に時代は変革期に入っている。江戸が明治になったように、今大変革が起きている。こんな時代こそ中小企業の相談相手である税理士は頼りにされる立場にある。そこで、我々が将来の方向性だけでも指し示すことが出来なければ、我々自身が淘汰されてしまう。そうならないためにも、情報システム部としては、県内税理士会員のために税理士として知っておいて欲しいことを連載しようとこの「あぶない薬」が始まった。
(文責:高野裕)