私の手元にようやく予約していた本が送られてきた
季刊「NAGAOKA ROMAN」創刊号である
「長岡浪漫」編者 中村武男が
この本に対する思い入れを「信濃川悠々」と題して書いている
「・・・・・今にして思えば、振幅する心の起点はいつもふるさと長岡にあった。
昨年夏に長岡に帰ってきた。
帰郷して数日後に長岡大橋の上から、
初めてライトアップされた水道タンクを見て涙が止まらなかった。
愛という意味にはいろいろあるけれど、
生まれたふるさとを愛していない人間などいない。
月の光に照らされた信濃川の流れと、
東山の濃い青の輪郭とが、胸の高ぶりに拍車をかけた。
もう帰る資格もないのだと思っていたふるさとの山と川が、
やさしく手をさしのべ、抱きしめてくれているように思えた。
この体を借りて、
もう一度全力で何事かを成さなければならないとしばらくを熟考した。
独りよがりに終わるのならば、それもまたそれまでの人間であったとのこと。
少なくとも心境は行動しなければ昇華しない。
そして、本音で、心と心が揺れ動くような本を作りたいと考えた。
私にも長岡人の熱い血が流れている。
冷静で広い視点を持ちながら、
立つ長岡の地の人と大地を掘り起こしていきたい。
文の力を信じ、永遠の今を見つめ、
悠々たる風に進路を確かめながら。」
平成12年10月3日 柏報掲載