2Lサイズで写真の力を競う!
特殊な現象や人物の姿態表情など、決定的瞬間をとらえた抒情作品を珍重する従来の写真コンテストは、コンセプトやその表現力への評価のみが先行し、本来は記録者としての眼差しである客観的でストレートなカメラアイにより撮影された画像への評価があまりにも低い。
写真力展は、撮影に関わる技能や器材の優劣、時間的余裕などを要因とする巧拙には重きを置かない斬新な審査基準を用意することはもとより、写真の持つ優れた記録性を生かして、日常に埋没する何気ない事象を作意なくありのままに捉えた画像を最大限に評価する画期的なコンテストです。
ありふれた些細な光景に目を注ぎ、それをカメラでストレートに切り取ることのできるすべての人に、グランプリのチャンスを与える平等無差別な写真展です。
作意のない画像には、内容が一切の虚構を含まないものであるということを認識させる力がある。
その力は見る者の意識を、事実が語る摩訶不思議な世界へと誘う。
写真が持つこの力を本展における写真力と定める。
人の意識において、すべての事象は互いに関係しあい相対的に繋がっている。したがって我々は普段事象に対して相対的な価値を見出してしまうものである。しかし写真は、その事象を相対的な価値世界から切り離し、絶対的なものとして見つめることを可能にしてくれる。絶対的なものとして見つめるとは、他の何ものとも関係・比較することなく事象そのもの、事象の実態を見つめるということにほかならない。
写真の内容は具体的でわかりやすいが、それは単に事象の皮相をとらえているにすぎない。注意深く目を配らなければ観えてこない事象の実態へと意識を向ければ、その内容は、実に興味深いものとなる。