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支部にパソコンがやってきた 高野 裕 はじめに長岡支部に新しい時代が到来した。それは、支部事務局に初めて導入された1台のパソコンである。情報化社会といわれて久しいが、ようやく支部事務局にパソコンが導入された。これは、いわば電話機が出始めた頃、我が家に初めて電話機が取り付けられたときと同じようなものである。床の間に座布団を敷いて鎮座ましましているそれのような風情がある。今、電話機は各部屋に1台、携帯電話も考えれば各人に1台といっても良い。パソコンも確実にそのような状況になりつつある。そんな中で、やっと事務局にパソコンが入った。事務局は局員1名により活動している。考えてみれば長岡支部は何と全職員1人に1台のパソコンを配備したともいえる。ともかく、このパソコンを支部会員のためにどのように役立てるか期待が高まっている。 便利な多機能電話機パソコンは電話機みたいなもので、一人しか使っていなければ自分だけの秘密の道具でしかない。ところが、みんなが使っていれば便利な情報交流の道具となる。パソコンが多機能の電話機みたいになってきたというよりも、多機能の電話機がパソコンになったと理解した方が良いかもしれない。パソコンを電話機のようにつないでみるとすごく便利な機械となる。もちろん、自分だけで秘密の道具として使っても、便利な道具である。 秘密のポケットパソコンを購入したが、ホコリをかぶってしまうということにならないためにはおすすめしたい方法がある。まず、パソコンを購入したショップか事務所に出入りしているコンピュータ業者に電話して、「このパソコンでインターネットをやりたい、それもISDNでつないでほしい、とにかく手続きから全て頼む」と話してみてほしい。ここでのポイントは「ISDN(アイ・エス・ディー・エヌ)」という言葉である。これは、専用の電話回線が1本分増えてスピードは倍、しかも基本料金は通常の半額で、さらに今までの電話には迷惑をかけない。実に便利なインターネット用のものであると理解されてよい。とにかくISDNでインターネットをやりたいと業者に告げればよいのである。後の細かいことや手続きなどは業者任せでよい。何万円かの投資は覚悟してほしい。しかし、これだけの価値は必ずある。「ドラエモンのポケット」にあなたのパソコンは変身するはずである。キーボードなど人差し指1本で打てればよい。華麗なるキータッチなどできなくて良い。マウスさえ動かせれば、あなたのパソコンは新しい世界への入り口となる。 私のドラエモン私は2年ほど前に「ドラエモンのポケット」を手に入れた。インターネットに初めて足を踏み入れた。そして、私の会社のホームページを自分で作って立ち上げた。そこには私の会社で作成した本の販売もやっている。この本の注文が時々インターネットで入ってくる。それも、岩手県だの香川県などと思いも寄らないところからの注文となる。最近では、関西の大学生から就職希望の問い合わせがあった。私はインターネットを通じて返事を書いた。「勤務地は新潟県長岡市ですよ、関西での勤務ではありませんよ…」と念を押さざるを得なかった。また、ある時インターネットの郵便受けに1通の手紙が届いた。その手紙を見たら何とイタリアのミラノ発の手紙であった。もちろん文面は英文である。さて困った、どうしようかと思ったが、ふと気がついた。英文翻訳ソフトがパソコンに入っている。これを使ってみた。何とか内容は見当がついた。要するに、国際税務のパートナーとして協力してもらえるだろうかというような内容であった。早速丁重なお断り文を書いてまた困った。日本語で書いては見たものの英文に直すことがやっかいだ。結局「I am sorry …」などと、数行しか書けなかった。私の所に毎週米国から日本語の情報が届く、米国の新聞に載った日本の情報をレポートしてくれる、もちろん日本の新聞情報は数時間おきに入る。豪州から経営分析の本を一緒に書かないかと誘いが来る…。 目先のことインターネットをやり始めると、今までとは違う世界が開ける。もちろん良いことずくめとは限らない。問題も色々ある。しかし、今までとは違う世界の広がりがある。よく仕事にどのように役立つかと質問を受ける。そこで、いろいろ説明しても結局「商売には使えないね、単なる遊びだね」と軽蔑したように言って去って行く。最近では同様の質問を受けてもあっさりと「仕事には役立ちませんよ」と話を終わりにする。目先のことしか考えない人には単なるお遊びでしかない。確かに業務でどこまで使えるか定かではない。会社で全員が使えるようにすることの問題点もいくつかある。しかし、中小企業者を指導すべき立場にある税理士の先生方には、是非お勧めしたい。もしパソコンを購入されておいでなら、ISDNでインターネットにつないで新しい世界を体験してみてほしい。 新しい物差し私がインターネットをすすめるのは、一言でいえばあなたの感性を磨くことに役立ちますよということある。今すぐ商売の儲けにつながるものではない。今我々のおかれている時代は今までに経験しなかった全く新しい別の価値観が増長して、今までの価値観でこのまますすんでゆくと、5年後、10年後に生き残れるかどうか判らないと考えるなら、そして、そのために自分の古い物差しを新しい物差しに早急に差し替える必要性を感じているならば、インターネットは非常に有効な道具となる。ここにインターネットの現在的意義があると考えている。このことから、インターネットは意識を持って利用すれば有効な道具となるが、意識を持たずにいれば有効どころか有害の危険性もあるという意味も含んでいる。私がおすすめしたいのは、職員ではなく先生自らインターネットを使ってみてほしいということである。 事務所をかまえるインターネットを使うようになったら、是非ホームページを作ってみてほしい。自分のホームページを持って初めてインターネットのよさが判るようになる。インターネットに単に登録しただけでは、いわば税理士登録しただけみたいなもので、事務所をかまえて初めて税理士としての現実活動が始まるようなものである。ホームページを持つことからインターネットの価値がでてくると考えてよい。 おわりに現在長岡支部でパソコンを活用しようと企画している。その場合、考えるべきことがいくつかある。パソコンは誰のために活かされるべきなのか。一つは事務局のため、もう一つは会員税理士とその職員のため、そして会員以外の人のため。会員以外とは一般市民であり、国税当局をも意味している。現段階で支部がなすべきことは啓蒙活動である。事務局、会員、市民の各段階に対し啓蒙活動が必要である。事務局、会員に対しては操作活用方法の教育活動が主体となろうが、一般市民には広報などを通じて税理士会の対外的信用の向上を図る活動が必要ではないかと考える。これらのすべての要素を満たすものとして私がおすすめしたいのは、支部でインターネットのホームページを立ち上げることである。 税理士会長岡支部会報 平成10年新年号掲載 TMC日本語メイン・メニューへ 高野裕のコーナー・メニューへ 帽子のコーナーへ Last Updated: <98/01/03>1998 |