「おかしなゴースト」
困った
おかしなゴースト(幽霊)にとりつかれてしまった
どこでとりつかれたかは、だいたいわかっているのだが・・・困った
こいつの困ったことは、端(はた)から見たらわからないだろうけれど
とにかく私の中に住み着いてしまったことである
おとなしく住んでいるだけなら問題がないが
こいつは、一人で勝手に歌い出したり、リズムを取ったり、とにかく四六時中動き回ることである
私が人と話をしたり議論をして頭の中が回転しているときはわりと静かだが
なにか頭の中の回転が緩やかになり、単なる手作業や、単純作業になるとやつが動き回る
私が廊下を歩いているときや運転をしているとき、出てくる出てくる、やつが出てくる
一番困るのは原稿の締切が迫って嫌々追い立てられて資料に目を通し始めたとき
資料に目を通しているのだが、頭の中ではやつが動き回っている
頭の中で勝手に歌い出したり、勝手にリズムを取ったり、どんどんと調子づいてくる
下手すると、いつの間にか頭から体の方まで進出して、いつの間にか体が動かされていたりする
放っておくと完全に、このゴーストに踊らされてしまう
困った、困った
仕事がこのおかしなゴーストのおかげで進まない、ま、前からわかっていたことだけど
困った、困った
こいつは、あそこで取り付いたと判っている
リリック野外劇の練習である
毎日のように演劇の練習にいって、同じ曲と同じ踊りを繰り返し繰り返し練習している
この結果、確実に私の体の中にゴーストが住み着いてしまったのだ
曲が流れてきたら条件反射的に、たとえそこが重要な会議中でも踊り出してしまいそうである
おかしなゴーストには困ったものである