(財)長岡市芸術文化振興財団 第6回運営懇話会 議事要旨

 ○日時:2002年10月18日(金)19:00〜21:00
 ○場所:長岡市立劇場・中会議室
 ○出席者:メンバー:安達、家田、今井、内山、小柳、川上、菊地、久須美、高野、高見、長尾、中村
     事務局 :松木専務理事、神林事務局長、金子総務課長、五十嵐市立劇場長、岡村市立劇場副主幹、植木事業課係長、滝沢総務課主任、青柳事業課主任、市川事業課主事、
     オブザーバー:長岡市国際文化課 山田主任


 ○議事等

 1 神林事務局長からの開会の宣言

 2 小柳座長のあいさつ

 3 会議

 (1) 事務局からの報告(資料に基づき説明)
   @平成14年度「文化庁芸術拠点形成事業」の採択について
   A平成14年度アウトリーチ活動(小中学校出前コンサート)について

 (2) 議事
   議題:(財)長岡市芸術文化振興財団のこれまでの運営の総括と今後の運営方針
     (素案)について
   (事務局から資料に基づき説明)
   (以下、●「座長」、▲「事務局」、・「参加メンバー」の発言を表す。)

  ・文化庁芸術拠点形成事業について、対象となる事業や財政的な援助の内容はどのようなものか。

  ▲配布資料の中にもあるが、会館自らが企画・制作する事業や、芸術普及事業が対象となっており、平成14年度対象の事業予算として約2,000万円を予定しているが、その3分の1を限度として、文化庁から支援をいただけることとなっている。

  ●事務局からの話の中で、市立劇場は来年30周年を迎えるということだが、たとえば、市立劇場の耐震対策などは、どの程度進んでいるのか。

  ▲長岡市の対策として、まず、子どもたちのための施設、次に不特定多数が利用する公の施設というように優先順位を付けて診断、対策と順次進めているようであるが、財政的な問題もあり、なかなか進んでいない。
財団としては、市立劇場の耐震対策を要望していきたいと考えている。

  ・長岡市では、まず小・中学校等の各避難所となっている施設を優先させて、順次対策を図っているところである。

  ▲市立劇場は来年度、ちょうど30周年になる。17,8年たったころから大規模改修に着手し、音響、舞台照明、空調設備、客席、外構、屋根防水と順次行い、ほぼ1巡目が終わり、2巡目に着手する時期が来ている。
旧建設省の指針では、20年を目途に設備をリニューアルするよう示されており、それを2回繰り返すことによって60年は使用できるとされている。
指針では建設にかかる費用と同額くらいの改修費がかかるとなっており、市立劇場は建設に9億円かかった。1回目の改修には、7〜8億円がかかっており、2回目はそれ以上にかかると言われており、相当な経費がかかると予想される。
公立文化施設協会では、改修に伴う支援も文化庁に働きかけているが、今のところ難しいようだ。我々も財源確保のために新たな検討をはじめている。

  ●市民参加の方法について、現在、財団では友の会という組織が存在しているが、チケットの割引き特典など、どちらかといえば受け身的な参加であるので、会員の方たちの前向きな活用の仕方について考えられないか。

  ▲市民参加の手法は様々考えられる。特典を求めるだけの会員組織ではなく、切り口を変えて、そこからリリックをサポートしていただけるシステム作りができればよいと考えており、ぜひ、いろいろなアイディアをいただきたいと思っている。
三善先生と話をしている中ででたアイディアとしては、自分のできることをできる範囲でやってもらえるサポートシステムを作れないかということ。たとえばある催し物を行うときの受付をしていただく方、宣伝・広報をしていただく方、事業の企画に参加していただく方、それぞれの場面ごとに参加していただく方法もあるであろう。
実際に、今年度実施した「リリックあそびの国」では、100人近いボランティアから参加してもらい、企画の段階からお手伝いいただいた例もあり、これもひとつのサポーターと言えよう。

  ●現在、財団ホームページのアクセスはどのくらいあるのか。

  ▲アクセス数は今確認できる資料がない。
インターネットを利用した施設予約システムは、アクセス件数を把握できるシステムにはなっておらず、申込状況しかわからない。
近いうちに、財団ホームページのリニューアルを考えており、財団の情報の見やすさをもう少し検討し、また、掲示板などの掲載により意見を寄せていただくなど、利用しやすい環境にできるようにしたい。

  ・説明資料にあった「アウトリーチ」とはどういう意味なのか。

  ▲「外に向かって手を広げる活動」という意味。文化施設では、いろいろな普及活動やワークショップ、あるいは出前コンサートなどの活動があげられると思う。普段コンサートに来られない人、敷居が高く感じてホールに足が遠のいている人が気軽に触れてもらうような工夫、街角コンサートなども考えている。

  ・ホールに来られない人への提供、慰安コンサート的なものは非常に印象に残るものだ。
職場の厚生事業で行っている鑑賞会やサークル活動などに出向くことによって、これまでホールに出向きにくかった人に興味を持ってもらうなどできるのではないだろうか。
そこからリーチが広がり、メセナ事業へのつながりもできると思う。

  ・文化庁の芸術拠点形成事業は、これまでの事業が評価され、認められてきているということ。
財団事業については、これまで行政側に姿勢さえあればお金が出せたと言えよう。
「文化に関しても聖域ではない。」と長岡市は話しているように、財団としても財源の確保が難しい状況になっていると思う。今後アウトリーチ事業など広げていくには、かなり事業費もかかると思う。もっと知恵を出し合って財源の確保や事業の工夫が必要となってくるのではないか。

  ・企業から数万、十数万の広告協賛金をもらうだけでなく、メセナなどの活動により、もっと企業に入り込んでいってご協力いただくことなど、財源確保の方法を工夫しなければならないと思う。
3年くらい前、学校の生徒たちの文化向上のための公演をやりたいと積み立てをし、毎年は無理ではあったが、何年かに一度、企画を実現させたということがあった。
アウトリーチ活動は、こうした活動と協力し合うなど広がっていく可能性があると思う。

  ▲国の文化に関する予算は、昨年比で8.3%ほど増えてきている。こういう時代に予算が増えてきていると言うことは、文化が重要な位置付けにあると考えてよいと思われる。
そうした背景のなかで我々は活動してきており、もっと支援を受けるための努力を今後も続けていきたいと思っている。
メセナとしての地元企業からの支援などは今までにないやり方であり、これも努力のひとつといえる。

  ・市民の声を吸い上げる組織を構築する、その具体策はどう考えているか。

  ▲メディアを使った吸い上げや利用者懇談会の開催などを考えている。懇談会については施設の利用者だけでなく、事業に関してもフリーに話ができるように、テーマの範囲や開催の形態を考えて実施したい。
他の市では、市民の声を聞くサポーターもいるそうである。サポーターのための研修会を実施するなどフォローの仕方もいろいろと考えていきたい。
利用者懇談会もどういう形で実施したらよいのか、アイディアがあったら、是非ご意見いただきたい。

  ・芸術活動というものは、非常に自己主張が強いものだと思う。文化というものは、自分の主義主張ばかりをするのではなく、もっと広く高い視点にたって、常に全体を見渡しながら高めていくことが必要であると感じている。
また、文化行政にたずさわる方々と一般市民との立場の関わりがこれから、ますます重要なキーとなってくる。

  ・素案のタイトルになっている「みんなのホール」というコンセプトはわかりやすいが、果たして「みんな」とは誰を指しているのか、疑問に思う。
財団はその名前が意味を示すとおり、芸術文化の振興を行う団体である。行政が示している外郭団体の改善内容には、設立目的及び事業内容の再評価を行うことが掲げられているが、もう一度そのあたりに立ち返り見直すことが大切なのではないか。
みんなでワイワイガヤガヤするだけでは、芸術文化の振興にはならないし、単なる地域コミュニティーであれば、公民館のサークル活動でも十分であると思う。
芸術文化の振興という考え方がなくなってはまずい。
市民参加についてはリリックホールができたときから言われていることであり、目新しいものではない。これを具体化していくことが今後取り組むべきこと。
これまでを振り返ってみると、ひとつの事業で参加してくれた人たちが、また別のジャンルの事業に必ず参加してくれるとは限らず、個々のグループ活動の中だけでコミュニティーを作って完結しているようで、マイナスの面ばかり目立っている。
もっと、広い視野に立って、たとえば企画などできる人材の育成など具体的に考えていかないと、文化活動というものはどんどん沈下していくような気がする。

  ・これまで6回の運営懇話会を行ってきて、非常に意義のある会であったと感じている。
今後は、利用者懇談会がこうした意見を発言できる会になるのか、いずれにしても、市民との接点のある会が開催できるよう、事務局にお願いしたい。

  ・文化というものは「ひとつの事業が終わって、はい、これで終わり」ということがなく、こうした素案も決まったり、いろいろなことがあるなかで、流れていくもの。
財団は今後もこうした舵取りに悩んでいかなければならず大変なことと思うが、特に長岡は芸術文化の底辺が狭いといわれているだけに、財団がこれからの文化の大きな流れをつくって、引っ張っていく存在であって欲しいと願っている。

  ・この会に参加させていただいて、私自身沢山勉強させられた。これまでの意見交換の内容が活かされた結果がこの素案に現れていると思う。
今後は、財団に要求するばかりでなく、自らもできることにどんどん参加していきたい。
文化活動は偉大なボランティアであると思うので、これからは自分でもすすんで参加していきたい。
財団も、市民の声を吸い上げることだけ気にしすぎて、何もできなくなってしまうと残念なので、研鑽を積んだ財団のプロの方々のリーダーシップを期待している。

  ・この素案を拝見し、この会で出てきた声だけでなく、ここ2,3年の間にも聞かれていた意見がまとめられていると思う。今後もこうした市民の声を吸い上げる会を継続していただきたい思いである。
社会の状況によって、市民の声も常に変化し、そうした声をネットしていく場に財団がなってくれるように、三善先生からもアドバイスいただければいいと思う。

  ・これまでいろんなところで出てきた意見が、この素案の中ではテーマとして取りあげられ、今後の方針についてよくまとめられていると思う。
この中で、5年間の総括の部分、これまでどう評価されてきたかという反省の部分が述べられているが、内容的に少しお座なりな感じがしないではない。

  ・これらの意見を踏まえて、部分的に修正できるところがあれば、事務局でもう一度検討いただき、反映させてもらいたい。
今日でこの会は終了となるが、私は懇話会そのものが文化活動のひとつであると思う。
文化は精神の場で、利害を追求する場ではない。
まちの雰囲気が高まる活動によって、文化活動も広がって行くのではないかと思う。

 4 閉 会


   (財)長岡市芸術文化振興財団事務局


戻る