○日時 2001年12月18日(火)19:00〜21:00
○場所 長岡市立劇場・中会議室
○出席者 メンバー:安達、家田、今井、川上、菊地、鈴木、永井、長尾、中村、長谷川
芳野、渡辺
事務局:神林事務長、五十嵐長岡市立劇場長、渋川事業係長
滝沢管理係主任、植木事業係主任
○議事等
1 神林事務長からの開会の宣言
2 座長のあいさつ
3 議事
(事務局から配付資料の確認、説明)
- 以下、財団の事業運営について懇話の内容
( ●「座長」、▲「事務局」、・「参加メンバー」の発言を表す。)
- ●これまでの財団の事業運営についてよかったこと、気づかれたこと、何でもよろしいので自由に発言をしていただきたい。
- ・最初の年度に開館記念事業として行ったものも評価に含めてよいのか。
- ▲実際、財団は設立2年目から財団独自の運営を行っており、初年度は長岡市の受託事業として運営されたもの。ただ実施は財団で行ったので、評価の対象として含めていただいても差し支えない。
- ・この懇話会の一番の趣旨はどういうところにあるのか、素朴な疑問があった。財団が5年間やってきて振り返るためのものか、何か課題がでてきたために討論しようと考えているのか。
- ▲今秋、財団設立5周年を迎え、特別事業等も節目として行ってきた。これまでの評価は財団内部では、貸館も含めてそれなりに行い、次年度の計画を立てるようにしてきた。しかし、これまで市民からの評価を受け入れるシステムがなく、それをつくる要望が強かった。
- 市民の考え方を知るためにこうした会を設置するのがよいと考えた。
- ▲財団の事業領域としては、芸術文化は舞台芸術だけではなく、美術、文芸等も含めたうえで総合的に事業展開をしていくことを趣旨としているが、現在のところ主に舞台芸術関連に特化している。
- ・私たちは、演劇を鑑賞する会として、これまで長岡で定期的に公演をしたいところからスタートし、自分たちで呼んでくるような活動へと発展、会員も広がってきた。財団の演劇の公演と我々の団体との関係をどのように考えているのか。事業のバランスや企画の進め方を検討してもらいたい。
- ▲たとえば年間の事業計画を立てる際に、演劇事業全体のサイクルを財団と一緒に検討したいとか、別にそうした会を立ち上げるとか、この会をきっかけにそうした具体的な提案を自由にしていただきたいと思っている。
- ・舞台を観ることが好きな者の意見として、長年活動してきた団体と財団の関わりについて疑問をもっていた。どこの主催事業なのかよくわからない人が多いのではないか。
- ・この会で、一つ一つの事業の評価など行うことは果たして意義があることなのだろうか。
- あちこちで話し合われた結果は資料としてたくさん残っている。この会ではそういった評価を元に財団の方向性をまとめるため、専門家の意見を聞いたり、もっと掘り下げた目的を持った会でありたいと思っている。
- ●懇話会という名前もあり、ざっくばらんに意見や要望を出し合うことが主になってはいるが、何回か会を重ねていくことで、結果、財団の方向性を見いだしていくことが、この会の趣旨であろう。
- ・5年間試行錯誤でやって来て、いろいろ批判がでるのは当然であろう。これまで行ってきた事業で特に音楽関係でいわせてもらうと、オペラ、合唱などの事業、演奏会に偏りがある気がする。それはスタッフの力量も関係していると思うのだが。特にピアノ関連が少ないので、つい新潟へ鑑賞に出かけてしまう。
- ・5周年記念事業の「カーリューリヴァー」の公演に関して極言すると、鳴り物入りで、多大な費用をかけた割には案外見掛け倒しの平凡な内容に感じた。能に関していえば、長岡には「薪能」や観世流の「能を楽しむ会」などの伝統があり、それらと比較してもかなり後退した内容であった。大ホールでにわか仕立ての舞台での演能はむしろ逆行した公演になりかねない。東西の川のイメージを用いた着想に感心したが、ただ奇抜で、むしろ気楽なアイディアが先行する公演にかなりの料金と多大な公費をまかなうより、途絶えている「薪能」や「能を楽しむ会」を財団から積極的に支援し、再興に尽力することをむしろ優先したらどうか。関係者の当面の検討課題にしてほしい。
- ・これまで芸文財団としていくつかの柱を掲げてやって来ている。市民の意見としては、もっと大衆的な芸術文化事業を希望するものが多い。しかしこれまでの事業を振り返って、そもそもそうした角度の事業ばかりを財団が担う事業なのかと議論されると、そういうわけにはいかないと考える。
- ・しかし、時代の流れの中で、以前ほど興行をうってでる人が少なくなってきており、身近な演目、ジャンルのものが減ってきている気がする。自主事業でクラシック系統の事業が多いと、そればかり目立つ。今後自主事業への取り入れ方も考えていかないと。
- ・伝統芸能、伝統音楽、たとえば雅楽など、事業の底辺を広げて展開していってほしい。応募公演だけでなく、地道に自立して活動している団体やグループに対して委託事業や育成 事業、助成事業として支援していったらどうか。
- ・事業展開に掲げられている柱を知らない人が多い。中味がわからないので興味があるものだけに自然に目がいく。いろいろなジャンルへの要望も強くなってきている。今後その各ジャンルへの柱を多く立てるのか、検討が必要ではないか。
- ・公募型自主事業は市民の声を吸い上げる点ではよかったと思う。財団設立わずかにしてすばらしい事業を企画してもらったのに、事業2年目にして沈みかけたということは、ある意味飽和状態なのかとも思う。
- ・この5年間で、市民が演奏会を開くことや、演奏会に出かける機会が多くなってきたことは、一つの「リリック効果」と言える。ただ、あまりにいろいろなことがありすぎたために、方向転換を求める時期になってきたのかとも思う。
- ・財団は質の高いものをやる、自分には縁遠いところだと思っていた。多岐にわたる芸術活動への発想をもっと高めて欲しい。
- ●庶民の気持ちが沸き立つようなものを展開していってほしい。評価を含めて「財団の事業運営方針」について何か意見はないか。
- ・5年間中心になってきたのはいわゆる「高尚」な芸術のもの。芸術的に評価されることに価値を見いだすような形になってきていた。市民がわいわい騒ぐ・・・ようなものよりも、立派なものをやりたい、各方面のプロを呼びたいということについてはそれなりの成果はあったと思う。ただ、そういうコンセプトでよかったのかというと、今は少し考える必要があるのではないか。
- ・むしろ、市民がわいわいがやがややっていこうとする場所ができるというイメージだったのが、財団が事業展開していく中で高尚なイメージを作ってきた感じ。
- ・市が掲げている「国際文化都市」としてのイメージが強かった。設立趣意書には、当初の市民の願いが生かされていない気がする。
- ●クオリティーを求めるが故に、偏りが生じたということなのではないか。
- ・新潟県芸術文化財団が公募しているように、成果発表事業、手づくり公演支援事業など、さまざまな応募形式を工夫して欲しい。長岡の場合は一面的で、ワンパターン的な底辺の狭さを感じる。
- ・企画公募型事業が2年目に種切れになってきていること自体、そもそもその発案そのものが、単なる一部の市民の要求に妥協した安易さと先見性がなかったともいえなくもない。今後いろんな公募形態を考案すると同時に、手を変え、品を変えて補助金を要求し続ける類似団体への助成は公費の乱用につながるので、適正な企画がない場合は無理することなく休止する柔軟性も忘れないで欲しい。
- ・今までの活動はホール主導での運営が殆ど。市民はただホールに出かけるだけにとどまっていて、芸術が市民に密着しているとは言い難い。市民の中に芸術を近づける方法として、アウトリーチ活動等、地域に密着した活動ももっと行ってほしい。事業が飽和状態だといわれてきているのなら、なおさら。
- ・たとえば、近くの公民館でピアノのミニコンサート、コーラス発表などを開き、いろいろな年齢層のかたが足を運びやすくするとか、それがきっかけとなって、リリックホールに出かけるようになればいいと思う。財団のお金の使い方がホールに偏っている気がするので、もっと地域に目を向けた方がいいのではないか。
- ・これまで財団は策定方針という目的を持ってやってきて、方向性ははっきりしており、バランスもとれている。今後事業に取り組む中で、市民の意見を採り入れるなどして徐々に肉付けを行って、より市民ニーズに添ったものができればいいと思う。
- ・市立のホール中心ではなく、財団のテリトリーをもっと広げたらどうか。市内のいろいろな施設での支援事業をやってみるとか、たとえばNCホールで演奏会を開く団体等の支援とか、今、民間と行政の協力体制が求められる時代になってきていると思うので、適切な民間施設での市民にとって有意義な民間事業への助成を考えてみたらどうか。
- ・今まで選ばれてきたものが偏りがあるという点で、多少問題を感じている。また、事業の決定に際し、ものがよいかどうかで判断され、これもいい、これもいい、とピックアップされていくのではないか。
- ・事業全体の予算のボリューム、バランスを考えてから、それぞれの予算にどれだけ振り分けられるか検討していかないと、バランスが保てないと思う。
- ・リリックホールができたときに、市民に開かれた施設として非常に期待していたので是非今後も方針は曲げずにいってもらいたい。たとえば事業決定システムの中で、審査委員会に一般市民の代表者がメンバーに含まれていることで、「市民に開かれた施設」という方針を貫いているとも感じている。
- ・使わせていただく立場では、非常に使いやすいキャパシティだと思っている。
- ・事業一つ一つにどういう方々がきているのか、チェックを念入りにして欲しい。一般の企画にも、もっと興味を持ってもらいたい。提案している側と財団との関係をもっと濃くしたい。運営していく中でボランティアの活用など、これも「市民に開かれた施設」につながる。
- ・ある学校の発表会の中で公演の合間に、市内で活躍している演奏家を呼んで演奏を披露してもらったことがあった。せっかくリリックまできたのだから、いろんな経験をさせたいとも思うし、たとえばそのときに何か紹介できるものなど、来館した時間を有効に活用して事業運営に活用できたらいいと思う。
- ・公募事業の仕上がりの良さから、市民がすばらしい企画を持っていることがわかった。芸術文化振興のための柱は崩していって欲しくないと思っている。
- ●「広報、宣伝活動について」、「友の会について」も含めて、何か気づいたこと、意見はあるか。
- ▲(今後取り組み予定の新規広報手法を説明)
- ・地域の公民館にもチラシはたくさん置いてある。ただ置いてあるだけでは、興味を持たない人たちにはなにも意味がない。たとえばそこで活動しているサークルのある時、興味のありそうなチラシなどを持っていき、直接手渡しする方法がいい。そして必ず後追い作業を行った方がよい。渡したいべき人に渡す方が効果的である。
- ・銀行などには公的なお知らせなどが置いてある。財団のコーナーとしてもお願いできるのではないか。
- ・自分で事業をやってみて、広報の大変さはよくわかった。自分たちで関連する人たちに宣伝、チラシ配布などしようとしても、守備範囲は決まってしまう。不特定多数の人の目に触れられるところに置くことは良いアイディア。それでも「ご自由にお取りください」となっていても、なかなか持っていってはくれず、難しいもの。
- ・今回の提供資料の中に、調査結果で「情報の入手先」としてはやはり「口コミ」が多いということがでている。自分の信頼している人が勧める、会の仲間同士の誘いなど効果がある。チラシを蒔くというのはある意味景気づけ。「口コミ」が一番いい方法であると思う。
- ・口コミなどの方法のほかに、これ以上進まないと思ったとき、その先を考えた手段として、店頭への掲示はよいと思う。
- ・事業運営について一つ一つ評価するのは、アンケートを採るのと何ら変わりがない。一番の問題点は何で、検討しなければならない点とは何か。周りからいろいろいわれたことを集約して、方向性を見いだすのがこの懇話会の意義ではないのか。一つ一つの事業の検証ではなく、財団が今後どうあるべきか、芸術文化振興についてもっと掘り下げた議論を交わしたいと思っている。次々に検討項目が変わってそれぞれに意見を言っても意味がない。具体的な検証をし、提言をするというような会の振興を期待している。
- ●はじめは、市民がどういう考えを持っているか、市民の代表としての意見を述べてもらい、その集約、検討をするための財団への橋渡し役という立場でこの会があると考えていいと思う。
- ●財団がこうあるべきだという討論をしているのではなく、結論を出すよりはランダムに意見を聞かせてもらった方がよいのではないか。回を重ねていくごとに、一つの方向性がでてきたら、それはそれでこの会の大きな成果だと思う。
- ・美術関係で、広報の立場の経験をして気づいたことは、一つはあらゆる手を使って行うこと、二つ目は方法ではなく、結局いいものには人が集まるということ。いい経験をした人たちからの広がりに期待するしかない。これが広報活動の原点であると思う。
- ・クオリティーの良さだけではない。それでは企画や集客はできない。知っていたら行ったのに・・・と思う人を増やさないような工夫をしなければならない。・私も後になって「知っていたら・・・」という声は周りでよく聞く。市政だよりも、「確かどこかに書いてあったはず・・・」と覚えているようで書いてあることを忘れることもよくある。市政だよりの財団のコーナーが比較的小さい。ミニ情報コーナーも、一般ではなかなか枠を確保できない状況である。文化活動関係中心のコーナーとして大きく取り扱ってもらえるようになればいいと思う。各家庭に提案することはかなり有効だと思う。
- ●「友の会」について時間もないので、次回に討議していただきたいのでみなさんへの宿題とさせてもらう。次回座長は事務局に一任したい。そのほかに何か意見はないか。
- ・館長、副館長と直接対話できる機会はないので、是非懇話会に参加していただきたい。
- ・懇話会の質を変えていくというような意見もあったが、今後、ざっくばらんな意見を出し合って、会を重ねていき、次のステップに進めていくという目的で行く方がよいと考えているのだが、いかがか。
- ▲運営組織等の見直しの話も、この会を設置するに当たって当初から考えてはいたことである。今は、事業の評価、方針をざっくばらんに、話を出してもらっている段階なのでご理解いただきたい。
○ 閉会
事務局から、次回開催を1月末か2月初めを予定していることを伝え、閉会を宣言した。
(財)長岡市芸術文化振興財団事務局
http://www.nagaoka-caf.or.jp/unnei2.html |
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