「桜の園」

チェーホフ作/中村白葉訳

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定価:400円

南ロシアの地主であるラネーフスカヤ夫人は夫と死別後、愛人とパリで暮らしていたが、愛人に裏切られ、経済的にもいきづまって、古い領地に帰ってくる。だが、その領地も抵当に入っており、破産は目前である。美しい「桜の園」を舞台に、旧地主・貴族階級の没落とそれに取ってかわる新興ブルジョワジーの台頭を描く。チェーホフ四大戯曲の中でももっとも完璧な作品としてしばしば上演される名作。

http://www.gutenberg21.co.jp/cherry.htm グーテンベルク21


桜の園
チェーホフ (1904)
●あらすじ
 4幕の喜劇。
 美しい「桜の園」の領主ラネーフスカヤ夫人は、夫と息子を亡くした悲しみを抱えパリに出るが、そこでの生活は自堕落なもの。破産寸前の領地へ5年ぶりに戻ってくるが、彼女の浪費癖も、パリにいる愛人への執着は変わらない。かつてのラネーフスカヤ家の農奴の息子で、今は実業家となっているロパーヒンは、桜の木を伐採して別荘地として賃貸しするよう提案するが、夫人とその兄ガーエフは、それを卑俗な意見として退ける。彼らは思い出に浸るばかりで、領地の経営能力などはまるでない。
 競売の結果、「桜の園」を競り落としたのはロパーヒンであった・・・。
●見どころ
 作者はこの戯曲を「悲劇ではない。喜劇である」と明言している。
 かつての農奴の息子に領地を競り落とされ、愛着のある「桜の園」がその目の前で伐採される・・・確かに、ラネーフスカヤ家の人間の立場に立てば、これは悲劇である。しかし、第三者の目に「悲しい」と感じさせるには「同情」が必要である。この作品の中には、見事なまでに同情に値する人物がいないのである。金銭感覚に乏しく、愛人にうつつを抜かすラネーフスカヤ夫人、昔を懐かしみ、訳の分からぬ戯言ばかりのガーエフ、家の切り盛りに追われ、やたらと信仰心を持ち出すワーリャ・・・。希望に満ちたアーニャにだけは好感を持てるが、その希望に何の根拠があるのか。使用人も含め、登場人物は一癖も二癖もある連中ばかり。そして、すべての登場人物がその思いを達することができないまま、バラバラになっていく。
 こういった「計算された不調和」が微妙なバランスで保たれており、それが痛烈な皮肉となっていておもしろい。

http://www.d1.dion.ne.jp/~taro_ok/collection/russia/622-5.html 岩波文庫


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