リリック朗読ワークショップ
「物言う術(すべ)」指導:本山可久子(俳優 文学座所属)
2月18日
夜、私はリリックホールで朗読ワークショップを受けていた
このワークショップですばらしい詩に出会えた
初めて読んだとき涙が出てしょうがなかった
「梅酒」 高村光太郎
死んだ知恵子が造っておいた瓶の梅酒は
十年の重みにどんよりと澱んで光をつつみ、
いま琥珀の杯に凝って玉のようだ。
ひとりで早春の夜ふけの寒いとき、
これをあがってくださいと、
おのれの死後に残していった人を思ふ。
おのれのあたまの壊れる不安に脅かされ、
もうぢき駄目になると思う悲に
知恵子は身のまわりの始末をした。
七年の狂気は死んで終わった。
厨にみつけたこの梅酒の芳りある甘さを
わたしはしづかにしづかに味はふ。
狂瀾怒涛の世界の叫びも
この一瞬を犯しがたい。
あはれな一個の生命を正視する時、
世界はただこれを遠巻にする。
夜風も絶えた。
2月19日(日曜)
今日は雪しか祭りの会場脇にあるリリックホールで昨日の朗読ワークショップ二日目に参加する
リリックから見ると雪の山越に雪しか祭りの会場がみえる
朗読ワークショップ二日目で交流会が開かれた
ささやかな交流会だ
左の女性がこのセミナーの講師
本山可久子さん、文学座の俳優さんだ
朗読ワークショップは30人ほどの定員で満員となっていた
各自が順番に読むことになった
各自がテキストに掲載された詩を選んで読んでいった
私の番になった
私は昨日、高村光太郎の「梅酒」を読んだので
今日は同じく高村光太郎の「冬が来た」を読もうと思った
私の順番が最後の方なので
他の方がこの「冬が来た」を読んだ
そこで、私は
与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」を読もうと思った
私の番がきた
皆の前に出た
そこで講師が言う
「君にはリクエストがあるの、昨日の梅酒を読んでくれないか」と
私は辞退した
なぜなら、この詩を読んだ後、昨日は涙が止まらなかった
だから勘弁してほしいと
2月25日(土曜)
今日はリリックで3回目の朗読ワークショップがある
リリックは長岡市の職員が、出向扱いなのだろうか、事務局を運営している
ま、問題が起きないことが一番の基本と考えれば
誰も人が集まってこない方がトラブルがないわけでして
いろいろ人が集まってくるとトラブルが発生する
そうなると規則ができてくる
運営と言うことは大変なことなのだと
そんなことを、ふと思ったりする
いろいろすばらしい詩を朗読させてもらう
元気なときは気にもならないが
心が弱っているとき、しみてくるような
そう、漢方薬のようなものが詩なのだろうか
30人ほどのメンバーで、どういうわけか女性が多い
2月26日(日曜)
私は「朗読ワークショップ」に申し込んでいた
今日がその最終日ということで終わり近くにやっと参加することができた
リリックからアンケートが届いた
それにいろいろ書き込んだ
今回の感想だ
講師の優しさが朗読の穏やかさと心の大切さを伝えてくれた。
朗読はテクニカルなものではなく、作者の心を文字と文字の間から時空を超えてすくい取り、
自分の心にぶつけ反響させて読むものだと教わった、ぶつける心が違えば響きが違うと。
詩は漢方薬のようなものだ、心が素直になっているとジワリジワリとしみて効いてくる。