以下は「例のぺージ」に掲載された劇評
一番詳しくきちんと評価していたものだったので引用として掲載

http://0bbs.jp/reynobbs2/

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[341] キッド 2005/11/07(月) 18:41 [削除]
[公演名] 鉄コン筋クリート [劇団名] 劇団わるだくみ
なんだかんだで、ここの劇団員ってすごいと思う。主役の二人にびっくりした!

シロ・陶山悠子さんのキャラクターって、誰も真似出来ないと思う。彼女にとってあのキャラは武器だよね。
でも彼女自身や周りの団員がそれに満足していたら、きっと成長しないし、そのうち客は飽きるよ。

クロ・岡田麻衣子さんみたいにさ、プロを相手に負けないくらいのカッコイイアクションが出来て、演技も出来る若手の女優さんって、新潟県内に彼女以外いないよ。
新潟初のアクション女優になるんじゃないかな?ずば抜けて上手かった!!他の団員さんのアクションが貧相に見えた。
時々見えた「品の良さ」。演技っていうか、雰囲気なんだよね。こいつが邪魔して「女」に見えた。クロ役良かったけど、「キャットウーマン」「ジャンヌダルク」「くノ一」みたいなのを演じてもらいたい。

周りを固める脇役も素晴らしかった。

蛇・矢島亜矢子さんは「さすが」の一言。申し分ないです。

演技はそれほど上手くはなかったけど、イタチ・相木隆行さんは良いオーラを出していたと思うな〜。
クロとの呼吸がピッタリ合っていた!ぶっちゃけ、イタチ&クロのペアが、どのペアよりも息が合っていたように見えた。

総合的に見るとまだまだだと思うけど、結成してまだ2年なんでしょ?それでいてこれだけ良い人材が集まるって何なの、わるだくみって?!

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[339] 音庵 2005/11/07(月) 11:55 [削除]
[公演名] 鉄コン筋クリート [劇団名] 劇団わるだくみ
わるだくみ初のシアター、集客もまずまずだが、それ以上にわるだくみには人を引き込む求心力があるのか、野外劇からのメンバーや高校演劇部出身者、そしてジョイントアクションクラブなど長岡の演劇状況をある意味象徴する構成に、あんかーわーくすや一発屋からの参加もあり、今まで関わってきた人に対する集団の姿勢や暖かさが表れているように思う。必ずしもそうでない場合もあるだろうが、誠実であることは確かだろう。新潟県人らしさでもあろうが。
中身(ネタバレ)。
「鉄コン」の「ストーリー」がほぼ十分に語られていた。かなり細かいところまで。逆に鉄コンの「世界観」は、十分描かれたとは言えない。原作へのリスペクトが感じられる丁寧に説明しようとする姿勢は(原作ファンには評価できるのだが)話の筋を辿っていくストレートな展開になりがち。そして場面の変化を暗転でつなぐ。人物は台詞を喋るために登場しまた去っていく。高校演劇でよく批判される典型だ。物語を再構成してエッセンスを伝えるような芝居作りをして、展開をスタイリッシュに、テンポアップすれば70分くらいで仕上がるし、テーマもより鮮明になるはず。
舞台はシンプルながら上手・下手の打ちっ放しコンクリ風パネルが美しい。その前に上手は取調室のセット、下手はクロ・シロのねぐらである廃車のセット。
きれいだが、すさんだ雰囲気があまり出なかった。センターの立方体はビル屋上など様々な場として活用されるが、上下手は作り込んでしまった分場が固定され、街中の場面でも残ってしまう。せっかくのシアターの広さが十分に生かされない。セットプランがスタジオの感覚から抜けていなかった。もっと抽象的にする、また奥行きを活用するべき。中割を使って背景に「こどもの城」を出したり、スクリーン映写もあったが、努力の割に効果が薄い。例えば「城」を映写にしてもいいはず。紗幕を使って前後で別の場を作ることもできる。シアターをもっと使い尽くしたい。
宝町で暴力を術として生きる少年クロ、岡田麻衣子の立ち回りは見事。見た目も男らしさが出ている。後半、彼の心の虚無とそれゆえの凶暴さがもっとほしい。苦悩する少年(思春期的)ではなく、人間として壊れているのだ。これは「イタチ」が彼の写し身であることの説得力に繋がる。相棒シロ、陶山悠子は、年齢を超え無垢なシロを演じえていた。わるだくみの枠を超えてもシロ・クロをこれだけ表現できる役者はそういないだろう。ただシロについては、原作的な立場から言えば、クロの弟的というより対等のパートナーである。そしてネジがもっと外れている。幼さではなく、欠落による無垢(古典「白痴」のように)。松本大洋のあの感情をあまり伝えない表情が頭にあるので、そういう感じが個人的には欲しかった。少し感情が見えすぎ。そしてふたりともきれいなのだ。顔も、心も。こんな生活をしていたらもっと汚れているのではないか?特に心が。オープニングでのシロの「交信」は不要。猥語はいやらしさや偽悪的にではなく、幼児から出るただの言葉として感情なく吐かれるはず。
刑事藤村の疲れたおっさんぽさ(矢島篤は随分上手くなった)、沢田のちょい鼻につく若いやな奴っぽさと後半の優しさ、組長の貫禄と俗物っぽさ、脇の男性たちはよくやっていた。チョコラやバニラ、酔っ払いもなかなかはまっている。
やくざ鈴木・木村も悪くないのだが、町を自分なりに愛して巨大な資本により変わっていくことを好まず消されていく鈴木の屈折した深みはむしろ佐藤正徒に、若手で野心家で、金のために転んで破滅していく木村は須藤悠で、と逆でもよかったように思う。JACの龍・虎はアクションが見事。できればもっと圧倒的な怖さがほしい。イタチは力強く衣装もよい。そして木村の女のあの冷静さ、蛇の少しコミカルな邪悪さ。役者たちの頑張りは認める(台詞の入りなど難はあるが)。あとは、演技の質のばらつきを方向付ける、テーマを絞るなど演出的な問題になる。
イタチの姿で示されるクロの中の「純粋」な悪はクロを強くするキーであるが、シロがいることで行動が制限される事がむしろ彼の壊れた部分にとっての補完であること、それをシロは本能的に知っており、様々な経験を通してクロがそれを知る過程がこの話の本筋。しかしイタチの残した傷は彼の腕にしっかり刻まれ、その傷跡があることでまたクロは深遠を抱える自分の本質を見失わないはずなのだ。一度切り離され(意図的に離し)その結果自覚することで再び戻ってくる、これは松本の「ピンポン」におけるぺコとスマイルに通じる。そういえばあれも、映画は原作とはまた違うもので、それはそれで表現され評価されていたと思う。
残念なところが上がるのは、期待値だと考えていいだろう。ただ、いつもいつまでもそうであってはいけない。ぜひ。

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[332] 匿名なので偉そうな村井孝昭 2005/11/05(土) 23:13 [削除]
[公演名] 鉄コン筋クリート [劇団名] 劇団わるだくみ
しょっぱなに「地球」とか「平和」とか言ってしまって幻滅。SFと劇中劇はヒクんだよねぇ。これは個人的なアレルギー。でも今回は漫画を芝居に起こしたところもあるから、しょうがないか。
映像効果が気になって行ったようなものだが、撮影編集とも、比較的、オッケーな完成度。あからさまに赤十字病院が映りこんでいたのが残念。地元っぽさを出したければ、長岡なら殿町を推奨。素人っぽさを出したければ画質を落として徹底的にしたい。ただしあれだけ大スクリーンで煽ったら、音量も爆音で行きたい。あのトロいスクリーンを使ったのは、間が持たず失敗。劇中に使われる映像効果は、狙ったほどの効果が出なかったのでは?投影された映像の「異物感」が気になる。
座席が良く、その後の展開に徐々に飲まれていった。好みに合わない重い内容だったが、「いつ終わるんだ」という感情にはならず。岡田さん演じる「クロ」の前半の男っぽさはよくできた。感情が出ると「女だったか!」となってしまったが。
アクションクラブのアクションがいい。素人目の俺には、少なくともカタチになって見えた。
矢島さん演じる太田は、なかなか他では観れない風格と雰囲気があった。せりふをカムとガラガラーッて崩れるが、いい演技。
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