平成15年3月16日 リリック戯曲ワークショップ

私の受講ノートから

高野 裕

平成15年3月16日戯曲ワークショップ受講ノート


1時
Aさん


最後だから読み合わせしましょ

今回は、マスターを出さないで別の男女をだしましたよね
これはいいですね
これからこの男女をどうからめるか何ですよ

<原本>           <先生ならこう直す>           <先生のコメント>
幸 (砂糖2杯入れる)     幸 (砂糖4杯入れる)
正之 ちょっと
幸 ・・・
正之 台無しだろ、そんなに入れたら
幸 (飲む)            幸 (のむ)
正之 ・・・            正之 ・・・・


柴田 久しぶり、じゃないだろ。連絡もよこさないで。みんな心配していたんだから。
                  (設定を先輩にする) 話したくないのに話さざるを得ない状況を作る
正之 ・・・             あ、っそうすか。 「で、どうなったんだよ」などつっこみを入れる
友紀子 (柴田に)誰?


正之 ・・・まいったな。     消す まいったときにまいったとは言わない
幸 ?なに?          消す
正之 ・・・            消す
幸 ?               消す
正之 ・・・手っ取り早く話そうか 消す
幸 ・・・うん。          消す
正之 今日は帰らないんだろ
幸 うん。友達のところにいく。・・・
                 柴田、友紀子笑っている
                        友達の笑いがこの二人に影響を与える

                 友紀子はどんな女にするか
                 オッパイ大きい、ピンクのボアボア
                 悩みも何にもないような女にする

正之 お客も来ないのに
幸 (かすかに笑う)
正之 で、あの人は?     正之 ・・・      正之が父親のことを嫌いだと言うことだけしかわからない
                 幸 聞かないの
                 正之 え
                 幸 父さんのこと
                 正之 別に、元気なの
                 幸 元気してる
                 正之 ふーん、よかったね
                 幸 気にしてたよ、兄ちゃんのこと

ここを「心配してたよ」というように代えれば
観客は、直前に柴田が使っていた単語を
再度使うことで印象づける事ができる

ここでもう一杯砂糖を入れても面白い

柴田をゲスな男として作る
先輩というプレッシャーで無理矢理喋らせる
柴田を陽気な人物として対照的に出す
友紀子がノー天気に出てくる

状況により柴田らを店から出させる
そのとき友紀子のケバケバコートを置いていかせる
最後に友紀子がとりに戻ってくる
その時、一言「サイテー」と吐き捨ててゆく

こんな形でからめてゆくと面白い
最初から柴田と友紀子がいて
ノー天気な会話をさせておく

その場にあえて他者を入れることで
雰囲気が変わる
チェーホフは他者を上手く使っている
他者をもっと動かしてゆくと面白い

人間のデッサンをもう少し考えること
上手く他者を使う

Bさん
2時

奥さんの主観は見えてこない
奥さんにも主観があったとする
5頁 を少し直してみれば
最後の「あなた、なにやってんのよ」が生きてくる

妻からすれば夫が子供
これからは旦那の子育てが始まる

現場の俳優はその役の主観が見えてくる事を考える
台本はみんなの人生を考えて書く
道具としては書かない
みんなに主観がある

休憩

Cさん
2時45分

いいんだけれどね、これは僕が男なのかもしれないけど
幸太が弱いかもしれない、幸太のデッサンが弱い
6頁のところ、幸太は少女マンガのヒロインみたい
幸太のデッサンをもっと掘り下げても良いのでは
幸太が格好いい男の子になって、彼の心の中をもっとデッサンできると良い

最初の場面
体育館に勢いよく駆け込んでくる なぜ勢いよくなのか
つらいから駆け込むという風に決めつけない
静かに入ってきてしばらくしてボールを思いっきり蹴る
こんな風にしてみる

雨の場面を有効に使う

男の子をもっとデッサンしておかないと

まつり 「突然の土砂降りみたいに、かなしいことは誰の上にも降ってくるんだね 」
このセリフは、どうなんでしょうか

Dさん
3時20分

奥さんが旦那にストレートに言えない状況

紙風船の奥さんが怒っているパターン
奥さんが作業をしながら言うと怖くなる
編み物をしながら無視していると怖い

怒っている状況のデッサンがもっとあって良い

怒っているときに怒るのは安易

Eさん
3時55分

電話に出る 普通に出ているけどそれで良いのか

一番もったいないのは貴宏を去らしてしまうこと
最後に貴宏が去ってしまうことで落ち着いてしまう
もったいない

実験
4時10分

デッサンについて少し実験をやってみましょう

人はある距離まで他人に近づくと体の何処かが反応し始める
ということで、相手にドンドン近づいてゆく実験をみんなでやってみた
私の場合は、相手にドンドン近づいてゆくと
手の先足の先当たりから段々意識が頭の方に上がってきて
相手の目を見ながらドンドン近づいているものだから
結局頭に意識が集中してくる
そう、目を通して脳の中に集中してくる

デッサンするとは
人は当然意識しなくても体が反応する状況がある
ある状況になれば当然体が反応しているはず
そこをきちんと意識して書き込むこと

恋をするから赤くなるのではない、赤くなるから恋をする
体が先に反応して頭で感じるのですよ

終了
4時30分

  今回の指導によって手直ししたものを4月15日までに提出してください
今日は、5時半から懇親会を開催します

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