知人から届いた私宛の手紙です

(内容がすばらしいので本人の了解を得ての掲載です。あくまで私信ですので若干省略訂正させていただきました)

 

 俳優養成講座、ご公演成功おめでとうございます。


 そしてお疲れ様でした。あんな天候で・・・・・・・・・、一観客として、非常に良質な舞台を見せていただき満足しています。・・・・・・・・・、若干の感想を述べさせていただきたく思います。

  チェーホフの生い立ちについて

   工夫された構成であり、解説としては非常に分かり易いものでありました。  妻役の水口さんは惜しかったですね。恐らく初日だったせいもあり、イメージの半分くらいしか伝えられなかったのだろうと思います。安定している女優さんなのでもったいなく感じました。言い直しをした時点で、観客の時間は止まり、またスタートラインに戻されます。何とか時間をつないで欲しかったですね。難しいことですが、台詞を正しく言伝える役ではなく、人間を伝えることにもっと集中していただけると素晴らしい役者になると感じている一人ですので残念でした。
  津軽さんは、安定感が増した感じがしました。独特の心地よい台詞のリズムを持った役者さんですね。ただすこし走りすぎていた部分がありましたが、安田さんが好きなタイプの役者の一人ではないでしょうか、そんな気がしました。

    創立記念祭

  チェーホフは昔いくつか読みましたが、今回の2作品については残念ながら今まで触れたことがありませんでしたので、何の先入観も持たずに入っていけました。
  「作り物でない存在感」のあった舞台でした。佐藤大輔のペースを軸に、それ以後の役者さんが、その空気を壊していく。典型的な喜劇のパターンでしたが、まず軸になる佐藤さんの間合いが良かった。そこに高野さん、池田さんが加わり、不協和音を奏でていく。つぼにはまった構成だと思いました。実年齢はわかりませんが、老獪な演技といいますか、ここら(新潟県)にはなかなか見受けられない確かな存在感を高野、池田二人の役者に見ました。
  間合いとテンションのバランスは良かったと思いますが、時折池田さんのテンションに対して周りが何をしようとしているのか意図が見えない部分があったのは残念でした。
  声は出していても、動いていても、演技の連続性が中断された部分が後半ありました。 
 芝居は、どこで何とバランスをとるかと言う問題が大きいと思っています。テンションと台詞のバランスが課題のように感じました。
  しかし、役者としての存在感は三者ともに格段に上がったように思いました。

   熊

  木村さんが面白かった。喜劇は、話の軸を「ずらす」ことが重要です。木村さんはそれを上手く行っていました。創られた間なのか、天性の間なのかわからないですが、自然に物語の軸をずらしていて心地よかったです。
  佐藤さんはもっとできる役者さんだと思いました。もっと独特の空気を持っている方だと思うのですが、ある一方向に集中しすぎたためなのか、キャラクターの全体像が見えなくて残念でした。
  全体的に、台詞に忠実であるがために、台詞に操られて、客観的に自分をみつめる余裕がなかったのではないかと感じました。もうすこし時間をかけられたら良い舞台になったと思います。