ずっこけシェイクスピア講座

★ シェイクスピア様様
とにかく芝居なんか観たこともない人にも知られているスーパースターですからネ。欧米の映画界では、ネタに困ったら「ハムレット」とか「ロミオとジュリエット」、とりあえずシェイクスピア物をやれば、何とかなるというハナシ。 去年も「恋に落ちたシェイクスピア」で稼いだでしょ。日本といえば「忠臣蔵」ってとこ。

★ 今では大時代劇なんだけど・・
一五九〇年代の前半に上演された「じゃじゃ馬ならし」は、当時としては、イタリア喜劇を手本にした現代喜劇でした。  その頃ロンドンではペストが大流行で、劇場が閉鎖されたり大変な時代。だから逆に、他愛ないお笑いが歓迎されたのかも。日本では豊臣秀吉が威張っていた頃ね。  ピアちゃんは売れっ子になる前に、劇場で客の馬を預かる駐馬場係をしながら修業したという伝説もあります。

★ 長〜いセリフ
長い芝居なら弁当が3食要る歌舞伎の通し上演や、先日リリックで上映した三日掛かりのオペラとかあるけど、劇中の長台詞ならピアちゃんがピカイチでしょうね。「じゃじゃ馬」にも序幕から二十行、三十行のセリフがぞろぞろ。 これは「無韻詞」というもので、英語のリズムを生かして感情を表現したり、舞台の緊張感を盛り上げたりする技法とか。名台詞の聞かせ所なんだってサ。  ピアちゃんの名台詞といえば、「おお、ロミオ、ロミオ、なぜあなたはロミオなの・・・」とか「生きるべきか、死すべきか、それが問題だ・・・」でしょ?  でもネエ、英語と日本語ではリズムが違うから、翻訳で聞くのはなかなか大変。それでも悲劇なら何とか我慢できるけど、喜劇だと重たいよネー。まあ、その辺はスピードとリズムが身上の安田雅弘構成に期待しましょう。

★ 翻案劇のこと
   去年の「夏の夜の夢」を、ある八十歳のおばあちゃんが観て「シェイクスピアが浴衣着て出るのよ。あんなお芝居だったら、また観たいワ」と絶賛していたとか。  ソモソモ日本にピアちゃんが登場した時は、全部、明治の時代劇に翻案されていた訳。「ヴェニスの商人」の歌舞伎版が「何桜彼機銭世中」(さくらどきぜにのよのなか)だと。 「じゃじゃ馬」は落語にもなる位受けたけど、新劇は、笑いのレベルが低い!って敬遠したんだって。