2000年「じゃじゃ馬ならし」


「恋のじぶん勝手 恋のいじわる」

安田 雅弘
 『じゃじゃ馬ならし』はシェイクスピアの名作喜劇です。あらすじだけを見れば、他愛もない嫁取り話だと言ってしまうこともできるのですが、私が何よりも強く感じるのは、シェイクスピアのテキスト(=台本)に描かれる豊かなコミュニケーションの姿です。しとやかな娘ビアンカを巡って複数の求婚者同士のし烈なさや当てが繰り広げられ、じゃじゃ馬の姉キャタリーナとペトルーチオの間には知力の限りを尽くした対決があります。そこで展開される策略や会話のバリエーションの潤沢さには目を見張るものがあります。テレビや電話やファックス、イーメールにインターネットとコミュニケーションの道具から見れば現代は当時とは比較にならないほど多量の情報がやりとりできるようになりましたが、その内容は、この作品の中の会話に比べてどれくらい進歩したと言えるでしょうか。現代に古典作品を問う意味はそこにあると思います。今年も昨年同様、多くの応募がありました。50名を超える参加者とともにリリック版『じゃじゃ馬ならし』はエネルギッシュに製作中です。御期待ください。

「じゃじゃ馬ならし」ピラ裏面の解説より

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