<What is common in commonsense ?>

野口英世博士


1 先日、外国から見た日本という話になりました。茅ヶ崎に行って中江会員にごちそうになった時のことです。日本はけっこう教育レベルも高いから外国のことも分かっているけど外国の人はどうも日本、日本人を分かっていないじゃないか、と言う話です。でも外国のことを知るということはなかなか大変なことです。知っているはずの常識も違います。

2 だいぶ前のことですが、留学生と猪苗代湖に遊びました。ここは野日英世博士の出身地で「野口英世記念館」などがあります。外国人留学生と行ってはじめて知ったのですが、野口英世は、日本だけの’偉人’なんですね。外国じゃ誰も知らない。もちろん当時は、優秀有能な世界的な研究者だったんでしょう。米国で認められて一時帰国し、長年ほって置いた老母と会います。そのときたまたま新聞記者が同席して、そのときの様子を親孝行の美談としてたかだかと名文で書かれたことから、一躍、偉人像が一人歩きしたようです。当時の顕微鏡の性能の問題もあって、野口博士の業績は結果として医学史にあまり残っていません。実像は、援助者のお金を遊興に使ってしまう金銭と女性関係にルーズな人だったといいます。

3 反対に、韓国の英雄 李舜臣 なんて知ってます? 豊臣秀吉が朝鮮を侵略したときに水軍を率いて大いに活躍したという将軍で、日本にも大いに関係しているのですが・・・・。韓国ではお札にもなっている歴史的英雄です。

4 米国のジョン・ハンコック なんて知ってます?独立宣言の4人の署名の一番上、最初の人なんですが、独立宣言を喜んで映画スターのように大きなサインを残しています。ジョン・ハンコックがなにをした人かは知らなくても、米国人ならこのバカでっかいサインのことは知ってます。

5 現代のことでもそうです。ベトナムの障害児べトちゃんドクちゃんのことは米国で一言も報道されませんから、米国人はまず知りません。米国で知られていないということ自体、日本人のほとんどが知りません。

6 また日本の領土紛争は北方領土だけでないことを知ってますか。日本海にある竹島めぐって韓国と領土紛争があります。日本という大国の圧カを感じている韓国では一般に知られている問額です。

7 常識と思っていることも、人によって社会によって違います。諸外国が日本を知らないと同時に、日本人もその外国について知らないことがある、何を知っていて何を知らないか、全部知ったつもりにならないことが大切なのです。

8 相続税の申告業務を完了して、えッぇ私が相続税を払うんですか、と驚かれたことがあります。 税金は遺産から支払われて分割財産は納税後の手取りだと思っていたのです。また毎年3月に税務署に行くと会場に税務署と市役所が出ています。俺はいつも市役所の方に申告するんだ、そっちの方がすいているから、という人がいました。はたまた、贈与税の基礎控除は(人年間60万円、それでは父と母、国元の祖父と祖母4人からもらって240万円と胸算用した人もいます。それに、租税法をただ執行する立場の税務署員に、税率が高い、法律を何とかしてくださいよと文匂をいう人は少なくないですよね。

9 我々が常識と考えていることも常識ではないのかもしれません。「税法の常識は、非常識」なんてことにならないように、今年、知新会は認識と解釈ということを考え直します。

<常識あふれる カンノ 記>


租税法研究 知新会 会報 Nov.1995 発行人 菅野敏恭

なお、文中の番号は読みやすいようにと高野が挿入しました。


「租税法関係メニュー」へ戻る

Last Updated: 5/6/96